解説７ ページ36
しかし、いくら前を向いたからと言って病気の進行は止められません。
何の症状かわからないほどに様々な痛みが大翔くんの身体をおそいます。
そして亡くなるまで一か月をきったころに公開されたのが『紫蘭にこの身を捧ぐ』です。
残された時間が減っているのはわかっているけど、一か月という具体的な時間を歌い手さんに言わなかったのには理由があります。
それは、明確に示してしまうとその日まで耐えられない可能性が高いからです。
ここまで、という区切りをハッキリさせてしまうと、その先への挑戦は難しいものとなります。
そういうことを考えたうえでの行動と言えるでしょう。
そして人工呼吸器が付き、大翔くんは直感でエゴサをします。
ここと一章のまふまふさんの場面が繋がります。
まふまふさんと大翔くんは偶然にも同じ時に夜空を見上げています。
その前の日記のページで大翔くんは、死んだあとのことについて語っています。
死んだあとは星になる、という話は聞いたことがありますか？
二人が見つめる星は、強く美しく、そして儚く輝いていました。
大翔くんはもしかすると、死んだあとはみんなを照らす星になりたい…と考えていたりするかもしれませんね。
その後、大翔くんは感謝を伝えるために時間をかけてツイートします。
ですがリスナーさんたちには『ごめん』という言葉は聞きたくないと言われてしまいます。
若干弱気になっているのが伝わったのかもしれません。
その四日後、大翔くんは『アイビー』としての最後のツイートをします。
『あいたい』という一言、漢字にすらしていません。
それほど力が無いという証拠ですね。
次の日にまた自分の無力さを感じた大翔くんは、日記を遺すことを決意します。
仲間に手を差し伸べることすら出来なかったのが、よっぽど辛く悔しいものだったのでしょう。
その日は、最後の力を振り絞るかのようにあるものを作ります。
これが、ひとりひとりへの手紙と『クリスマスにはキャンドルを赤く灯して』です。
完成したのは誕生日の一週間前。
そして、大翔くんの命日となる日でした。
ちょうどいいタイミングで天月さんが病室を訪れ、死の予兆について語ります。
亡くなる三日前の日記には、突然死にたくないと書いています。
そしてその日は天月さんが訪れる直前までさみしいと感じています。
これが死の予兆である感情の乱れです。
一章だけではそこまではわからないかもですね。
続きます！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 360人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美傘(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます。一話一話読んでくたびに涙が出てきて､､､文字がよく見えなかったです､､、ハンカチ用意すればよかったです笑。作品ありがとうございました (2022年1月4日 21時) (
レス) @page29 id: d900c150ef (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - 話を読んでいくたびに涙が止まらない…こんなに素敵な作品を作っていただきありがとうございます！ (2021年12月29日 18時) (レス) @page33 id: a089607364 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠琥珀(プロフ) - たんさんさん» こちらこそコメントありがとうございます。読んでいただきありがとうございました……！ (2021年12月23日 16時) (レス) id: 90bf31668e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠琥珀(プロフ) - いぶき。さん» レス遅くなって申し訳ありません。読んでいただきありがとうございます。あなたの心に何か大切なものが残せたのなら幸いです。 (2021年12月23日 16時) (レス) id: 90bf31668e (このIDを非表示/違反報告)
翡翠琥珀(プロフ) - ｋろｈさん» コメントありがとうございます！こちらこそ読んでいただきありがとうございました……！！ (2021年12月23日 16時) (レス) id: 90bf31668e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：翡翠琥珀 | 作成日時：2020年3月23日 16時
