鬼舞辻無惨に愛された女

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貴「なんで分かるのかって顔しているわね。教えてあげるわ、黒死牟。あなた、結構感情が顔に出ているのよ？」

黒「わ、私がですか…!?」

貴「やっぱり自覚なかったのね。まあずっと出ている訳では無いわ。無惨様の前にいる時、上弦の鬼達がいる時は上弦の壱だからって無意識に顔を引き締めているのでしょうね。でも、私と2人になってから顔にすごく出ているわよ？」

黒「も、申し訳ありません…!!あの方の妻であらせられる名前様の前でそんなことをしてしまっていたとは…！」

貴「良いのよ。逆に私は嬉しいわ。誰にも見せないあなたの素顔を見れるような気がして、母親になった気分よ。私、堅苦しい感じの方が嫌だわ。なんか他人行儀な気がして。これからも私の前では気を許してくれると嬉しいわ。」

黒「良いのですか…？私目などがそのようなことを…。」

貴「私は無惨様ではないのよ？私が良いと言ったら良いのです。母上と呼んでくれてもいいのですよ？」

黒「ありがとうございます、そんな事言っていただけたのは初めてです。でも母上と呼ぶのはちょっと…。」

貴「冗談よ、本当に素直な子ねあなたは。これからもその気持ちを忘れないで無惨様を支えてあげてね。それと、自分の気持ちにも素直にならなくてはダメよ？我慢は厳禁。この家にもあなたがいる時に顔を出すから、私の前ぐらいは気持ちに素直になってね。」

最初会った時は、弱そうな子供のような人だと思った。なぜこの人があの方の妻になれたのか分からなかった。
でも、今日名前様と過ごしてみて分かった。この方は弱いんじゃない、子供のようなんじゃない。私達に自然に振舞って欲しくてあんな風にしていただけだ。
本当は強くて優しい人だ。そして、誰よりもあの方を愛している。それに私達のことも愛そうとしてくれている。普通の人ならできるわけもない。名前様だからできることなのだ。
ああ、この人が私達のところに来てくれて良かったと心からこの日思った。

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