ゼラニウムをキミに (ページ8)

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初出勤ページ8

今日から私の仕事先はあのSMエンタ。

アイドル好きな子にとっては妬みの対象。

裏口入社だからそれなりのことは覚悟してるつもりだけど、それよりもわたしにとって1番怖いのはあのひとだった。

あれからしばらく経つのにあいつはなにも言ってこない。それが私にとっては怖かった。

あいつならなにかを要求してきてもおかしくないのに。
怖いくらいに普通の日々だった。

「Aさん、こんにちは。
担当者のヨンミンです。大変だと思うけど、どんどん聞いてね。」

よかった。担当の人、見た目とはちがってやさしそう。←

『こんにちは、今日からよろしくお願いします。素人ながらに頑張りますのでなにとぞご指導ください。』

家で何度も考えた挨拶。
できるだけ当たり障りの無い言葉を選んだつもり。

「いきなりあいつらの担当は大変だと思うけど、なんかあったらなんでもいっていいから。」

いくらアイドルに興味がないとは言っても、バイト先にも若い子はいたわけで
少しのことはわかっているつもり。

この人が担当ってことは、やっぱりあのグループですよね。大丈夫かな、私。

ごめんなさい。私、男の人苦手なんです。

今は練習中だから挨拶は昼食の時に、そう言われて今は軽い休憩タイム。

外の非常階段で気持ちをしっかり切り替える。
外は寒いから人がいなくて助かる。

『どうかこのまま何事もなく終わりますように…』