ゼラニウムをキミに (ページ22)

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醜い心ページ22

慌てて部屋に入り、否定しようとするが

「へ〜、僕のファンなの？嬉しいな。」

微笑むイーシンさんをみたら言葉が詰まってしまった。

「えー！Aちゃん僕のファンじゃないの〜！？」

そう騒ぐビーグルたちを横目にセフンを睨む。

余計なことを。

でもそんなことセフンには怖くないのか、ジョンインと一緒になって笑ってやがる。

もう一度微笑んでいるイーシンさんを見たいと思う反面、
あの瞳が私に向けられていると思うと今、私の顔は赤くなっていないのか、そんなことばかり気にしてしまう。

『お騒がせしました！』

そういって逃げるように部屋から出た。

心を落ち着かせようと思い、休憩所にむかった。

近づくにつれて大きくなる笑い声。

「騒がしいな。スタッフさんかな？」

この時私は忘れてしまっていた。

自分自身の存在を。

自分がどういう人間なのかを。

『…っ。』

角を曲がったときに見えた5人。

Gahid。

お姉ちゃんが入るはずだったグループ。

あぁ、事故がなかったなら。

意識が戻っていたなら。

姉はあそこにいたのだろうか。

当たり前の光景なのに、楽しそうに笑う5人が私の目には歪んで見えた。

自分の涙で歪んでいた。

何も気にせずに笑っているのが、何も無かったように過ごしているのが憎らしく見えた。

私の心はいつからこんなにも醜くなってしまったのだろう。

なったのではなく忘れていただけなのかもしれない。

周りにいる人が輝かしくて。

自分のことも勘違いしていたのかもしれない。