ろく ページ7
再び子供のように目を輝かせるイスカンダルと、エレシュキガルを守るように前に立つ碧、そしてその碧の背中を見て頬に手を当てて照れているエレシュキガルの前に現れたのは潜水艦だった。
ぱかりと潜水艦上部にあるハッチが開かれ、出てきたのは強面の水兵。
「やっぱり! 久し振りじゃないかミドリ!」
「……あぁ、君か。久し振り」
片手を上げる水兵に、知り合いのためか警戒を解いた碧は応えるように片手を上げていた。
ハッチの下の仲間に聞こえるようにミドリだったと叫ぶ水兵の傍ら、エレシュキガルはぽかんとしている。
「……え? 碧、この人と知り会いなの?」
「うん。この前にルイスが帰省してる時に彼と知り合ったんだ」
やはりあの時人脈を広げていたか、末恐ろしい奴だ。
ではなく。
「ミドリ! 今日はあの軟弱そうな兄ちゃんと一緒じゃねぇんだな」
「お! アレクセイじゃねーか! またあのアメイジングな話の続きをしてくれよ!」
「それより見ろよ! あのクレイジー侍にガールフレンドいやがるぜ!」
「お姉ちゃん! ミドリの舵取り頑張ってくれよ!」
次々とハッチから出てくる出てくる水兵達。
潜水艦の浮き上がってている部分に出てきた彼等はほぼ全員碧の知り合いだった。
加えて何人かイスカンダルとも顔見知りというとんでも状況。
いったいこの人外と征服王はどこに向かっているというのか。
「あ、ミドリとアレクセイ、それとミドリのガールフレンド。ボスが話あるってさ」
「これは有り難い! そしてこの兵器を我が配下にもらい受けよう」
「出たーアレクセイの征服ネター!」
「そういえば、この前軍用ヘリ見ても言ってたな」
テンポよく会話が進むため、エレシュキガルは愕然としていた。
唐突に潜水艦が海から現れたと思えば碧と征服王は船員達とほぼ知り合い。
そして現在進行形でまた知り合いの数を増やしていっている。
加えて碧のガールフレンド、彼女、かのじょ──。
「か、彼女だなんて、そんな……」
時間差で碧の彼女だと脳が理解し始めたために女神の顔は真っ赤だ。
先程のダイオウイカ並みに赤く染まっている。
あと可愛いやらセクシーやらの褒め言葉に更に顔を赤くするエレシュキガルに、碧はそっとセクシー発言をした船員を見た。
「もし」
その時の碧の顔は最早見れたものではない、とのちに船員は語る。
「エレちゃんに手を出すっていうなら俺が再起不能にするから」
幸いなことは女神がその発言を聞いていないことか。
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