よん ページ5
加えて、雷に感電して絶命して茹で上がった状態の魚達が続々と海面へと浮かび上がってくる。
アジだったりスズキだったりマグロだったりサメだったり。
あらゆる魚類が所狭しと海面を覆い尽くし始めている。
「さ、流石にやりすぎなのだわ……。きっとお母様が怒るわ……」
止まった戦車の上から惨状を認識させたエレシュキガルは顔を青くさせた。
彼女が言うところのお母様は海の女神。
とある人類最後のマスターが最後の特異点で戦った女神、ティアマト。
記憶があるのか、ないのか、あの戦いで女神エレシュキガルは尽力した。
自身が消えることも厭わずに、ただひたすらに。
「もし、そうなっても僕がなんとかするよ」
「うむ、余も力を貸そう。なぁに、碧と余であれば女神であろうと敵ではない」
「……ありがとうなのだわ」
と、お礼を言うエレシュキガルだがよく考えてほしい。
この惨状を引き起こしたのはそこの大男であることを。
ついでに連帯責任でそこの人外も悪いことを。
しかし人の温かみに心をほっこりとさせて気付いていないエレシュキガルをいいことに、二人は話を進めていく。
その内容はこの大量の魚をどうするか、というもの。
「持って帰る?」
「勿論だとも! 余が勝ち獲った魚だ、これは持ち帰らんでどうする。お主の弟に料理をしてもらえば保存もきくであろう?」
「そうだね。じゃあ持って帰ろうか」
せっせと魚を掬い上げ始める野郎二人。
全部を集めるとなるとそれはもうえげつない量になるのだがなんのその。
どこからともなく取り出したエコバックの中に魚をえっちらほっちらと投入していく。
なお、このエコバック、よくレイシフトにいく碧のためにレオンがエマに頼みに頼み込んで作ってもらったエコバック型異次元転送礼装である。
異次元といっても転送先はunknownの食糧庫。
今頃大量に茹で上がった魚が流れ込んでいるためスタッフや食堂を預かるマスター達は大変だろう。
そんなこんなでほぼ魚を入れ尽くした彼等は、こんがり焼けてしまったクジラをどうするか、という問題に直面していた。
「切る?」
「それ困る。余がこの大物を仕留めた証を残したい」
「でも、この大きさにしないと入らないよ?」
「だから悩んでおるのだ」
と、全く無意味なことで悩む二人だったが、直ぐに臨戦対戦に入るためエレシュキガルは困惑した。
「碧、征服王、いったいどうしたのだわ?」
「しっ……」
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