じゅうよん ページ15
彼が? と尋ねる警官に、もう一人の警官はサムズアップをしながら肯定。
「あぁ、君だったんだね。久し振り」
「サムライの次はニンジャにでもなろうとしてたのか、碧」
「そうじゃないんだ」
と、三度目の説明をする碧に警官二人はクレイジーだと呟いていた。
知り合いなのかと運転手も征服王も冥界の女神も碧を見れば、頷いている。
「数年前にサイパンに来た時にちょっと知り合ったんだ」
「銀行強盗がどうのこうのって言っていたのだけど……」
「うん、巻き込まれてね。でもなんとかなったよ」
「アメイジングだぜ碧! 流石クレイジーサムライ!」
「そうかな?」
「次は余も参加しよう、共に強盗犯を蹂躙しようではないか!」
この数分で更に規格外な事実をぶちまけてくれた碧だが、違反行為には何かしらの罰則は本来受けねばならない。
四人共トラックキャビンから出て取り調べをされるはずなのだが、その規格外な事実のお陰で今回はお咎めなしということになった。
「いいの?」
「もちろんだぜミドリ! だがここからは歩いていけよ? なんなら空港までパトカーで送ろうか?」
一人の警官の有り難い申し出に碧は頷こうとするが、待ったを掛けるのが女神である。
「え、遠慮しておくのだわ!」
しかしその待ったに、更に待ったを掛けるのが征服王。
「何をいうか女神よ! パトカーなるものに乗る機会など滅多とてないゆえここを逃せば次ちう乗車できるかわからんぞ!」
「ひ、必要ない経験だと思うのだわ!」
片や、パトカーに乗ったら犯人か何かと周囲の人間に思われてしまうことを危惧する女神。
片や、滅多に乗ることが叶わない貴重なパトカーへに乗車したい征服王。
見合って見合って。
レディ……ふぁ──。
「じゃあ歩いていこうか」
イト、となるわけではなく。
女神の意見を聞き入れた碧によってこの勝負、エレシュキガルの勝利となった。
「何故だ碧! このような機会を逃せばパトカーなるものに乗れなくなるぞ!」
「大丈夫だよ。今度ルイスにお願いしてパトカーを投影してもらうから」
「ほほう! ならばついでに他の乗り物も頼んでみようではないか!」
同時刻、マリアナ海溝の海底にてくしゃみと共に背筋に悪寒が走った変態紳士がいたそうな。
超逃げてルイスくん、奴等が返ってきたら色々と求められるから。
切実に願う語り部兼創造主であった。
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