じゅうさん ページ14
盛り上がる男三人と女神一人はトラックに乗ると空港へと発進させる。
荷台には大量の荷物が積み込まれているため、全員トラックキャビン(運転席と助手席のこと)にぎゅうぎゅうに詰め込んでいる状態だ。
体格が特に大きいイスカンダルがいるため彼に助手席に座ってもらい、エレシュキガルを抱えた碧が運転席と助手席の間の僅かな隙間に片膝を立てて無理矢理座り込む形で着席していた。
「これって交通ルールの違反じゃないのかしら?」
「バレなきゃ大丈夫だ、ミドリのガールフレンド」
※バレなくてもしてはいけません。
しかしながらこの手段でしか全員が乗車する方法はないため、目を瞑るしかないだろう。
交通量が多くなった頃には座席より後ろにあるほんの僅かなスペースにて隠れるためひっそりと息を潜める碧と、あまりにも密着した状態のため軽くキャパシティオーバーをしているエレシュキガルがいたそうな。
空港に近付くに連れて人通りも車通りも勿論多くなるのは当たり前のことであり、ましてやデコトラとなるのなら目立ちもする。
「そこのトラック、少し止まりなさい」
当然、警察の目に止まり呼び止められるのは必然であろう。
運転手が後ろ二人に隠れているようにと、隣のイスカンダルに静かにしているようにと呟くと道の傍らに停車。
ドアウィンドウを下ろしてどうしたのかと二人の警察官の内、一人の警察官に尋ねていた。
「免許証と、荷台を拝見しても?」
「別に構わないぜ? ほら免許書だ」
免許証を差し出し、何かあったのかと警官に問うトラック運転手。
「テロ対策だ。最近何かと物騒になったため、警戒を強化している」
「へー。御苦労なこって」
「ほら免許証だ。次は……」
警察官の目に運転席の後ろから金色の束が見えた。
「座席の後ろに何を隠している?」
「あ? なんも隠してねぇよ」
「ならその金色の束はなんだ」
はっとエレシュキガルは自身の髪を押さえたがもう遅い。
ごめんなさい、と目で碧に謝るエレシュキガルに翠は不思議そうにする。
彼女が謝る必要は何処にもないのだ。
ひょっこりと僅かな隙間からエレシュキガルを密着させて起き上がった碧は、こんにちはと挨拶をしていた。
「何してるんだ、そんなと」
「おう! ミドリじゃねぇか! なんだ、お前だったのかよ!」
「……知り合いか?」
「前に話したじゃねぇか。銀行強盗立てこもりの時に一般人の癖に一人で犯人グループ全員倒しやがったアメイジングなジャパニーズがいたって」
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