Unhappy Cinderella 【跡部景吾/テニプリ】 (ページ6)

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「……A、か？」

少し遅れて聞こえたその声は、ちっとも変わっていない。あの頃の面影を残した、ケイゴの声だった。

「やっぱり！やっぱりケイゴね！」

久しぶり、と興奮気味に、私はケイゴとハグを交わした。

嘘みたい。本当に、物語みたい。まさか、初恋の人と再会できる日が来るなんて。

「姉妹校から転校生が来るってのは聞いてたが……まさかAだったなんてな」

「私もびっくりよ！この学校にあなたがいるなんて、思ってなかったもの！」

私がイギリスを離れた時点で、もう二度と会えないと思っていた。

これも運命……だなんて言ったら、笑われる？

「……A？うちの生徒会長と、知り合いなの？」

ケイの声に、はっとわれに帰った。彼との再会が嬉しくて、すっかり彼女をそっちのけにしてしまっていたわ……

「ご、ごめんなさいケイ！あなたのこと、そっちのけに……」

「謝らなくてもいいぜ、A。久しぶりに会ったんだから、舞い上がって当然だろ。そうだ、何なら俺様が直々に残りの案内をしてやろうか？氷室より、面識のある俺様の方が気楽だろ、お前も」

それに、とケイゴの鋭い碧が彼女を見る。

「持ち込んだ仕事の処理は、持ち込んだ奴が片付けるってのが道理だしな。なあ？」

「っ……あーあー、そうですか！そんなに言うなら私が片付けますよ、生徒会長様！」

ケイは強い口調でケイゴにそう返すと、いつの間にか後ろに控えていたムネヒロから書類を奪い取り、勢いよく扉を閉めた。

「気にする事はねえよ、A。あいつはいつもああだからな。……ああ、お前も行くぞ。ついてこい樺地」

「ウス」

彼女を気にする素振りを見せた私の腕を引いて、ケイゴは学校案内の続きへと繰り出したのだった。