Unhappy Cinderella 【跡部景吾/テニプリ】 (ページ1)

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小さい頃から、きらきら光るお姫様ものが大好きだった。

綺麗なドレス。素敵な王子様。信じてやまない、魔法使いの魔法。

一人娘の私を、ママはいつも可愛くしてくれた。ママは、それを「魔法」と言った。

いつも読むお姫様たちよりは可哀想じゃあないけれど。だけど、「魔法」にかけられて可愛くなるのは一緒じゃない？

「Aは本当に可愛いわ、ママの誇りよ」

「ありがと、ママ！」

それがママの口癖で、私の誇りだった。

いつまでも私はシンデレラで。王子様は、ガラスの靴を頼りに私を探してくれるって。そんな馬鹿なこと、信じてた。

シンデレラは、完璧ではいけなかったの。ひとりで歩いては、いけなかったの。

それにもう、十二時を過ぎた時に、魔法はとっくに切れていた。

見かけだけは綺麗でも、私はヒロインになれなかった。ヒロインになったのは、勝気で彼のそばにいた、あの子。

いつの間にかなくしたガラスの靴は、あの子の足にぴったりとはまっていた。

(そう。私は、ヒロインに憧れたアンハッピーなシンデレラ)