◇ ページ26
渡辺side
それから亮平のいる病室に戻り、どれくらい時間をかけてか、ゆっくり、全てを話した。
運良く、泣き疲れた亮平はすやすや眠っていて、照とふっかは相槌を打ちながら全てを受け止めてくれた。
元々亮平を守り抜く自信がなかったこと、そんなタイミングで亮平の前であの悪夢を見たこと、日に日に体調を崩し限界だったこと。
時々目線だけ上げて目黒の顔を見ると、泣いている時の亮平に向ける目と同じ目をしていた。
そんな俺たちを見た照たちは亮平に脱水の点滴だけして出て行った。
立ち尽くす俺に、ティッシュを2枚ほど取った目黒が近付く。
渡「んっ…」
突然目の辺りにそれを押し当てられ、初めて自分が泣いていると理解した。
目「翔太くん1人で戦ってるんじゃないです。頼らなくてもいいから、隠し事はいやです、」
渡「…ん、ごめん、」
すんなり謝罪の言葉が出てきて、涙も止まって、久しぶりに晴れ晴れした気持ちになった。
目「あ、起きちゃった?翔太くん来てるよ」
目黒の背中から体を傾けてベッドを覗くと、目をくしくしさせている亮平。
途端、俺を見て固まってしまった。
止まったばかりの涙が溢れそうになる。
俺のせいで亮平を苦しめたという事実は変わらない。
自分が泣くことなんて許されないんだ、とゆっくりベッドに近付いた。
亮「んぅ………だっこ、」
渡「だっこ、ね」
点滴を引っ掛けないように、小さな体を抱き抱える。
子供特有の匂いがする。
亮「しょーた……なんで、えんえんしてたの…?」
顔を肩に埋めたままなのにハッキリと聞こえた。
罪滅ぼしなんかじゃない、本当の本当の本音。
渡「……亮平が俺の宝物だから。このままおっきくなっても、ずーっと亮平が大好きだからだよ」
くふっ…と息が漏らした亮平はむにゃむにゃ口角を上げながら真横にある俺の顔を見て言った。
亮「りょうもだよ、」
FIN.
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おいぬ(プロフ) - チェリーさん» メッセージに送らせて頂きました( ᵕᴗᵕ ) (10月12日 22時) (レス) id: e34387800d (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - コメ失礼します。sugar and saltという小説のパスワードを教えて頂けますか? (10月12日 17時) (レス) id: 5958ebef62 (このIDを非表示/違反報告)
おいぬ(プロフ) - ぽぽぽさん» わぁ〜本当ですか!とーっても嬉しいです( "̮ )マイペースですがこれからも読んで頂けたら嬉しいです( .ˬ.)" (2022年12月15日 20時) (レス) id: e34387800d (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ - コメ失礼します。いつもほほえましく読ませてもらってます!おまけと言っても面白い話で、ありがとうございます。これからも応援しています!! (2022年12月15日 19時) (レス) @page28 id: ae6b64ffe5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいぬ | 作成日時:2022年8月31日 20時