きみの居場所 ページ18
渡辺side
亮「昨日ね、夜しょうた泣いてたよ」
渡「あ、こら」
俺の膝の上でナースステーションでお喋りしていた亮平がいたずらっ子の顔で目黒に言った。
特別体調が悪いわけじゃないけど、降ろそうとすれば首を振るから、無理に引き剥がして癇癪を起こしても困るし。
ほっぺをピタッとくっつけて、あなたも泣いてましたけどね、と言いたくなったのを、翔太くん、という目黒の声に遮られた。
渡「なに、」
目を合わせないように、膝の上の亮平をきゅう、と包み込んだ。
目「なんですか、話してください」
渡「違う。そんなんじゃない」
だからその顔、辞めろって。
いつもその大きな目で逃がすまいと俺を見つめて、4つ上の俺の事を余計なくらい心配する。
医者で、ましてや精神科医の俺がこんなんでどうすんだよ。
いつまでも頼ってるわけにはいかないんだって。
目「教えてくれないんですか」
渡「だから何もないって、」
目「じゃあ照くんたちから聞いてもらいます」
渡「っ、お前、」
照くん“たち”、という言葉を出されて顔を上げずにはいられなかった。
別の科である照、ふっか、涼太。
あの3人が出てくるとお節介ってくらい俺に質問攻め、正当に言いくるめられ、ひとつ残らず事情聴取されるのを知っている。
馬鹿なくせにこういう時だけ頭の回転が早い。
さっきまでの笑顔は消えて、不思議そうに俺と目黒を見上げる亮平をデイルームのラウールに預けてくる。
渡「ちょっと変な夢見ただけ。でももう解決済だから」
目「そうは見えないですけど」
渡「だから大丈夫だって、しつこい、」
スタッフステーションで言い合いになってもしょうがないので、机にあった記録を引っ掴んで医局に戻ろうと早足になる。
そして目黒の横を通り過ぎようとしたところで、ラウールに抱っこされ不安そうな顔を浮かべる亮平がいるのに気付いた。
まずいとこ見られちゃったな、と思いつつ、特にかけてあげる言葉も見当たらず、素通りすることしか出来なかった。
この瞬間から、無意識に、確実に亮平の居場所を奪っていた。
後ろでしょーた…とよばれていることにも気付かなかった俺。
どうやって償えばいいのか。
そんなの今更考えたってしょうがないのに。
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おいぬ(プロフ) - チェリーさん» メッセージに送らせて頂きました( ᵕᴗᵕ ) (10月12日 22時) (
レス) id: e34387800d (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - コメ失礼します。sugar and saltという小説のパスワードを教えて頂けますか？ (10月12日 17時) (レス) id: 5958ebef62 (このIDを非表示/違反報告)
おいぬ(プロフ) - ぽぽぽさん» わぁ〜本当ですか！とーっても嬉しいです( "̮ )マイペースですがこれからも読んで頂けたら嬉しいです( .ˬ.)" (2022年12月15日 20時) (レス) id: e34387800d (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ - コメ失礼します。いつもほほえましく読ませてもらってます！おまけと言っても面白い話で、ありがとうございます。これからも応援しています！！ (2022年12月15日 19時) (レス) @page28 id: ae6b64ffe5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おいぬ | 作成日時：2022年8月31日 20時
