愛の音を奏でた王子は今。[男主]

27.拒否権 ページ28

｢Love-tuneのこともあったのに、なんでかなぁって。｣

今の俺の状況としては、すごく部屋に入りにくい。防音対策されてるとはいえ、廊下には声が聞こえてる。つまり、会話の内容は聞こえている。

｢いや、まだまだ俺らAのこと知らねぇなって思っただけ。｣

俺が壁作ってるからだよね、ごめん。

｢本人が話すまで待つしかないのかな〜……。｣

話せる日は来るんだろうか。もし話したとして、少なくとも6人なら無理に入らなくてもいい、って言っておわるだけだと思う。もしくは、俺の方が切られるか。

｢A、おかえり。｣

開けにくいしどうしよう、と思っていた矢先、舘さんがドアを開けた。いつから気づいていたんだろうか。

｢普通に帰ってきた時から気づいてた。すりガラスだけど人影はわかるから。｣

……舘さん、エスパー？
でも、聞いてしまったからには話をしないといけないのかな。

｢無理に話さなくてもいいよ。｣
｢ん〜……3人しかいないし。｣

俺が事務所を退所しなかった理由と、加入した理由。

｢まず、前提としてね。俺に拒否権はなかったんだ。退所しなければ怜央たちの活動を邪魔しないって言われたし。｣

この話を知ってる舘さんとりょーへいは至って真面目な顔で、この話をしたこと無かったさっくんは少しショックを受けていた。

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