脚本家になってください (ページ10)

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Ⅶ.Side JourneyCompany ページ10

｢着いたみたいなので迎えに行ってきますね。｣
｢了解、俺も今から滝沢くんに連絡するわ。｣

井上は稽古場を出て、深澤は滝沢に電話をする。

4コールくらいすると、"はい"という声が聞こえる。

｢滝沢くん、深澤です。｣
『何か問題でも起きたか？』
｢あの……瑞稀が花柳の従弟らしくて……さっき呼び出しました。｣

そう言うと滝沢は"俺を先呼べよふっか！！"と叫んだ。

｢すみません……！｣
｢とりあえず、稽古場戻るから俺が着くまでよろしく。｣

ツーツーツー……。

｢師匠、これ、怒られたりしない？｣

昔、無断で何かやらかしたのか田中樹は苦笑いで訪ねてきた。髙地や川島如恵留、宮近たちも不安そうな顔で深澤を見つめていた。

｢多分大丈夫。｣

｢深澤くん、連れてきました。｣

井上の後ろには、1人の女性。
パッと見、年齢は川島如恵留辺りとかわりなさそうな感じ。

"インタビューに答えても顔出しはしない"

彼女がそのスタンス故に、どんな女性なのか容姿を知らない井上や橋本以外はこう思った。

"女優の間違いじゃないのか？" と。

たしかに、パッと見、女優でもおかしくない。
華やか、という訳では無いのだが、目を引くオーラがそこにはある、と言った感じだ。

｢花柳Aです。瑞稀がお世話になっています。｣

でもたしかに、彼女はそう名乗ったのだ。