脚本家になってください (ページ42)

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XXXⅨ. ページ42

｢……Aに電話してみます？｣

｢電話ならバレなさそうですよね。
……というか、そもそも今日たしか叶恋さん、稽古場に来てないですよね。｣

影山の言葉に、たしかにと各々今日の稽古風景を思い出していた。

そもそも、鷲見叶恋自身が稽古が始まった日からずっと来ていない。だから、本人が来るようなことがあればさすがに気づくはずである。

｢んじゃ、僕電話しますね。｣

松井奏がスマホを鳴らすものの、花柳が出る様子はない。
彼女のSNSも動いている気配がない。

｢なかなか出ないね。｣

留守電サービスに切り替わりそうな頃。

『もしもし、花柳ですが。』

｢あっ、Aさん、僕です。松井奏です。｣

『……奏か。何かあった？』

ようやく花柳が出た。

電話の先からは、"え、こんなんあんの！？""なんか歴史を感じるよね〜"等と誰かが話している声が聞こえてくる。

そして、松井にはその声に聞き覚えがあった。

｢髙橋優斗たちの声……ってことは、今いるの、JourneyCompanyですか？｣

『……そうだって言ったらどうする？』

｢なんでそこにいるのか聞きたいです。｣

しかし、松井が聞いてもその問いに答えはかえってこない。その代わりに、こんな言葉が返ってきた。

『そのうち分かるから。まぁ、そっちに戻ることはもうないと思う。』