脚本家になってください (ページ5)

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Ⅱ.Side JourneyCompany ページ5

｢あれ、ふっか、滝沢くんは？｣

午前11時。
普段なら1度稽古場を訪れる滝沢が来ないことを不審に思った岩本が、深澤に尋ねた。

｢……花柳Aって知ってる？｣
｢は？知らないわけないだろ。GoldCompanyの脚本家じゃん。｣
｢その人を、探しに行くって。｣

深澤の言葉に、"は？"と返す岩本。話が聞こえていた阿部や田中樹、向井らが2人と周りに続々と集まってきた。

｢滝沢くんがなんで花柳Aを？｣
｢阿部くんの言う通り、別にジャニーさんが残した脚本もまだあるし……。｣

田中樹の言うジャニーさんとは先代の喜多川氏のことである。

たしかに、先代喜多川氏は滝沢にたくさんの遺作を残していた。

｢……その遺作、なんだけど。未完成のものも多いみたいなんだよね。｣
｢え、マジで？｣

深澤はアンサンブルのメンバーがいないことを確認してから話したものの、動揺したメンバーも少なくはない。

まず、今のJourneyCompanyのアンサンブルは学生が多いから平日のこの時間帯は稽古じゃないことが多いが。

｢それを完成させるため、あと新しいものが欲しいから、じゃないかな。｣
｢でもわざわざ敵の陣地に……｣

北斗が心配するのも当然だ。
1人で行くとしても多勢で行くとしても、強奪としかならない。

しかし、今は、違う。

｢……いや、彼女、解雇されたんだ。｣