脚本家になってください (ページ40)

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ⅩⅩⅩⅦ.About Her.2 ページ40

｢高校の時、寮生活だったんですね。意外。｣

｢え、なんで？｣

｢瑞稀の家行った時、普通にキッチンで料理してたじゃないですか。下宿してたのかなって。｣

橋本と花柳の出会いは、井上が自宅に花柳がいる日に橋本を招いたことから始まる。

だから、橋本にとって"脚本家のルーキー""天才"というイメージがありつつ、"瑞稀の従姉"というイメージも付随してくる。

｢実家が京都で瑞稀の家に預けられるのも考えたみたいだけど、お父さんの意向で寮生活してたんだよね。

元々、瑞稀のお母さんとうちのお父さんが兄弟なんだけど、お母さんの方が瑞稀のお母さんと仲良くて。

その影響で、こっちにはよく遊びに行ってたりしたんだよね。｣

｢京都出身なのに方言出ないんですね。｣

｢まぁ10年近く東京で暮らしてるから、向こうの人と話さない限りは出ないかも。｣

橋本のおかげで話題が逸れたのか、井上は胸をなでおろしていた。

最近までライバルカンパニーにいた従姉がずっと言わないでいたものだから、隠さないといけないと思っている節があったのだろう。

｢……ねぇ、そろそろ次行かない？
このペースじゃ間に合わないと思うんだけど。｣

｢ふふ、そうね。5人とも、次の部屋よろしく。｣