脚本家になってください (ページ37)

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XXXⅣ.About her. ページ37

｢花柳ねぇ……俺もすごい未知数だなって思うよ。｣

｢光一くんもですか！？｣

花柳もGoldCompanyには5年目だったゆえ、さすがに知っていると思ったらそうでも無かったことに滝沢は驚いている。

｢そうね、ちょっと変わった子だったわ。普段は落ち着いているんだけど、どこかの拍子でテンションが切り替わるっていう感じ。

でも、それを抜きにしたら話しやすいし、脚本だけじゃなくて演技についても、1言われたことを8くらいにまで高めてくれる理解力の高い子よ。｣

滝沢は内心、理解力が高いにしては出来がよすぎることに気がかりであった。

脚本家だからこそ分かるのかもしれないが、それでも引っかかる。

｢あと、面倒みがすごくいい子だよね〜。
アンサンブルの……特に大学生高校生辺り、勉強教えてたり相談なんかも聞いてもらってたりもしてたらしくて、今回の解雇で1番リアクションがもう凄かったよね。｣

｢そうね。
奏なんて、見るからに落ち込んでたもの。"絶対うそだ……"って。｣

｢うちでもそうなんですよ。
劇団に呼んだ初日に、大学入りたてくらいのメンバーと既に仲良くなっていて。｣

滝沢の言葉に安心したのか、光一と鷲見遼香はほっとした様子を見せた。本人が変わるとは思えないものの、それでもやはり懇願としていたルーキーだったからか心配をしていたらしい。

｢それにしても……脚本家なのに、演技指導もできるんですね。｣

｢……実はね、とある噂があるの。｣

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松井奏:GoldCompanyアンサンブルメンバー。高校の関係で髙橋優斗たちとは面識がある。花柳が脚本家にいた頃は、かなり懐いていたらしい。