脚本家になってください (ページ33)

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ⅩⅩⅩ.Side Takizawa ページ33

一方。

"先約がある"と言って稽古場を後にした滝沢は、とある場所へ自家用車で向かっていた。

着いたのはJourneyCompanyから少し離れた場所にある、とあるホテル。
各界の大御所たちが頻繁に出入りするそのホテルは、宴会だけではなく密会に使用するなどとにかく重宝されている。

ホテルの質も安全性も文句なしのこのホテルで、滝沢はとある人物と待ち合わせをしているのか、ロビーにあるソファに座っていた。

｢お待たせしました。｣

数十分後。

彼の前に現れたのは、ひとりの女性。

サングラスをして、春先にしては少し寒そうなスプリングコートを着ていた。

｢お待ちしてました、行きましょう。｣

｢……まさか、あなたの方から私を呼ぶとは思いませんでしたよ。滝沢さん。｣

｢珍しいことだってあってもいいじゃないですか、鷲見さん。｣

彼と待ち合わせていたのはどうやら、花柳がかつて所属していた劇団GoldCompanyの看板女優鷲見遼香。

かつて、彼女自身もJourneyCompanyに所属をしていた。

｢JourneyCompanyから派生したとはいえ、大丈夫ですか？｣

｢大丈夫よ、そのうち光一も来るわ。｣