脚本家になってください (ページ4)

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Ⅰ.Side you ページ4

｢ほんとありえない。｣

花柳は自身が運転する車内でキレていた。

それもそうだ。解雇通達された後。

｢ごめんねぇ、私のせいで。｣
｢やっぱ貴女でしたか。｣
｢ま、今言っても負け犬の遠吠えにしかならないわよ。要件はこんなことじゃないけど。｣
｢忙しいので端的にお願いします。｣
｢……ふん。まぁいいわ、私も暇じゃないしねぇ。そのパソコン、置いてってよ。｣
｢は？｣

"そのパソコン"とは、元々花柳の私物である。
無論、パソコンの機内にそのまんま脚本データを入れているわけが無いのだが。

じゃ、よろしく

と言って、部屋を出ていった鷲見叶恋を見送ると、花柳はパソコンを起動させた。

｢ま、いっか。パソコン本体のロック解くのも大変だし、データもロックかけてるし、3ヶ月後には消えるしね。｣

元々大学の劇団サークルで脚本を書いていた花柳。大学2年の時の大会で書いた脚本がGoldCompanyの主宰の目につき、脚本家としてスカウトされた。

また、大学では情報工学を学んでいた彼女にとって、プログラミングを組んで勝手に消えるようにすることはお手のもの。

そんなことより。

｢どうやって生活していこうかな……。｣

彼女にとってはそれが死活問題だった。