脚本家になってください (ページ22)

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ⅩⅨ.Ends&Means - Ⅱ ページ22

｢……滝沢さんから聞いたんですね。｣
｢あ、はい。お邪魔してすみません。｣

宮舘は、"どうぞ"と言っていれた紅茶を差し出した。

元々は一応は来客である彼女にお茶とお菓子を出すつもりで運んできたらしいのだが、扉は開いてるし入ってみれば幼馴染が胸ぐらを掴もうとしていた、といった感じだろう。

｢いえ、止めて頂き助かりました。｣
｢翔太、どんな相手でも攻撃してないのにさすがに失礼だよ。｣

宮舘に諌められても、渡辺は拗ねたままで。

代わりに宮舘が"申し訳ないです"といえば、彼女は"大丈夫"ですよ、と答える。

当たり障りのない、やりとり。

｢……まぁ、理由を信じられない気持ちはわかりますから。｣

そう話すと、彼女は[少年たち]の未完成脚本を手に取った。

宮舘は、彼女が左手で脚本を捲りながら、右手では筆記用具を持ちメモになにやら書いていることに気づいた。それも右のページ。

そして更に、左のページには去年、自身も参加した少年たちの分析がなされていることに気づいた。

｢すごく分析されてるんですね。｣

宮舘が話をすると、花柳は驚いたように顔を上げた。
まさか見られているとは思わなかったのだろう。

そして彼女は、困ったように微笑んで話し始めた。

｢少年たちは、私が個人的に好きで前任のエビキスさんの頃からずっと観ていた舞台なんです。｣