脚本家になってください (ページ18)

今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:203,063 hit

ⅩⅤ.Suggestion ページ18

｢JourneyCompany……ねぇ……。｣

滝沢から貰った資料に目を通しながら、ソファにもたれかかっている花柳。

花柳自身、あの空間で疑いの目を向けてる人がいることはわかっていた。

ライバルカンパニーの元脚本家という立場である以上、勘繰りを入れる者が1人や2人ではないことも。

だからこそ、悩んでいるのである。
カンパニーを守りたい、そんな気持ちも理解しえているから。

｢まぁ、信用してもらうのが1番最優先かなぁ。｣

そう呟くなりスマホを手にしどこかへとかけ始めた。

『はい、もしもし。』
｢あ、ごめん。稽古中……って、なんで橋本くん！？｣

かけた相手は従弟、井上瑞稀。

だが、出たのは橋本涼だったらしい。

『瑞稀、ちょっと今買い出しに行ってるんです。そろそろかけて来るかもしれないから、かけてきたら出てほしいって。』

従弟の井上には見抜かれていたらしく、思わず"おうふ……"と声が出てしまう花柳。

｢あの、遺作の中には完成してないものもあるって話していたでしょ？｣
『確かに滝沢くん、してましたね。』

彼女がお願いしたのは……なんと

｢私オリジナル1作、遺作のうちの1作を完成させたもの。

2作を読んでもらってみんなに必要かどうか、判断して欲しい。｣