脚本家になってください (ページ14)

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ⅩⅠ.Rival ページ14

彼女の話を聞くなり、滝沢は1度部屋を出ていってしまった。

"やっぱ何か問題があるんじゃないか"

他のメンバーはそうザワザワとしていたが、深澤と岩本は顔を見合わせて何も言わずとも確認しあっているようであった。

深澤と岩本は、滝沢が現役でこのカンパニーの主演で立ち始めた頃からずっとその背中を見てきた。
だからこそ、滝沢が何を思っているのかだいたい察しがつく。

｢A、それほんと？｣
｢ほんと。さすがに相手が鷲見遼香さんの娘だったからそう簡単には刃向かえないから……。｣

"鷲見遼香"

彼女の名前は、このカンパニーにいる人達はアンサンブルだとしてもみんな知っている。ライバル関係にあるカンパニーのトップ女優なのだから、当然知っている知識。
この一言が聞こえた者はみな、黙ってしまった。

そもそも、このカンパニーとGoldCompanyがなぜお互いにライバル視しているのかをきちんと把握しているものは今となってはあまりいないが。

ただ、すれ違えばお互いおちょくりおちょくられ……そんなことが実際起こってるのだから、自然と確執ができるのもおかしくはない。

花柳も井上も、それに嫌気がさしていてお互いに言わないでいたし、その事を橋本もわかっていた。だからこそ、今まで2人がいとこだとバレなかったのだ。