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どうやって謝るべきか、いや、そもそも心配をおかけしたのだ。まずは事情を説明して。それから、委員会活動に間に合わなかったことを謝罪して―――と、頭の中で考えていた言葉がすべて吹き飛んでしまった。気づくと、先輩がこちらに駆け寄り、思い切り抱きしめられてしまった。
ただ一言、よかったと。そうして暫くしてから涙を流される始末。そんなにも心配をおかけしてしまったとは。
「先輩、すみませんでした」
「……」
落としてしまわれた陶器もそのままに、先輩がぎゅうぎゅうと抱きしめる腕の力を若干緩めるたのを感じた。
…僕も大分気が張り詰めていたようだ。ようやく忍術学園に帰ることができ、こうして先輩に抱きしめられて安心してしまったのだろう。ふっと張りつめていた気持ちが抜け、倒れてしまいたくなる。しかし、ここで落ちてはいけない。ましてや、先輩の目の前である。こんなに心配をおかけしたのだ。これ以上甘えるわけにはいかない。僕は本来の目的である、先生へ事情を説明するべく職員室に向かわなければならないのだから。
「先輩、本当にすみません。ご心配おかけしました。 もしかしたらお聞きになってるかもしれませんが、実は僕、ピクニックの最中にはぐれちゃって。先生に事情を説明しに行こうと思っているんです。 」
「……」
「…先輩？」
先輩の様子がおかしい。･･･そういえば僕を抱きしめてからというもの、一向にこちらに顔を見せないのである。
仕方ない、解放されるまで少しの間待っていようと思い、先輩に抱きしめられた棒立ちの体制のままつい、と目線を先輩の亜麻色の髪に持っていく。そういえば同級生にも亜麻色の髪をした善法寺伊作くんがいるなあ、と彼のことをふと思い出す。彼も先に帰ってきているのだろう。早く帰って一緒に遊びたいなあ。また不運に巻き込まれてないだろうか。蛸壺に落ちたりしていないだろうか。そんなことを考えていた。
―――ようやく、帰ってきたんだね。 お帰り
続く
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作者名：うみ | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/74022984
作成日時：2021年9月22日 12時
