【rkrn】春の訪れ【男主】 (ページ13)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:300 hit

１１ページ13

それは、職員室に向かう道すがらに起きた。

　学園内を歩き、ほんの少しの横着にはなってしまうが、グラウンドを横切ってしまおうかと方向を変えた途端。ガシャン、と背後で複数の陶器の割れる音がした。思わず振り返ると、柳緑の制服を着た最上級生の先輩がこちらを見つめていた。先輩は小さく何か呟いている。

　―――もしかして、これは到着が遅れた一年生の僕に怒っているのではないだろうか。

　ハッとする。そうだ、思い出した。ピクニックの後には委員会活動が予定されていたはずだ。思わず冷や汗をかく。今は委員会活動も終わっている頃合いだろう。これはいけない。ああ、とにかく謝るべきだろう。

　「先輩、すみません！ピクニック中、気づいたら迷子になっていて…。もちろん、急いで帰ってこようとはしたんです！すみません、委員会活動にも出られなくて…火薬委員会の煙硝蔵の清掃もお手伝いできてないし…。」

　尋ねるも先輩は俯いたまま、黙ってしまっている。
　僕は慌てて、とりあえず先程の山での状況説明をすることにした。

　「あのですね。ただ、僕も未だに信じられないんですが気づいたら洞窟の中にいて･･･。それで眠ってしまっていたらしくて･･･ああ、本当に何を言っているかわからないと思うんですけれど、というか僕も全く分かっていないんですが･･･あっ、もしかして他の先輩や、もしや先生方にもご迷惑を」

　「･･･よかった！」

　「はい？ …って、うおっ！？」