甘えたで、素っ気なくて、泣き虫で【橙】 (ページ8)

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しつこい深澤さんはもうどうしようもできない。

結局テーブルに二人で座ってコーヒーを飲む。

『めっちゃ砂糖入れんじゃん、かぁいいね？』

「馬鹿にしてますよね？」

『してねぇって(笑)』

…どうも深澤さんは苦手だ。

なんかもうチャラチャラしてて苦手。

上手いこと女の子を褒めて、みんな食べちゃってるような人だと思う。

それも、短パンやミニスカートを履いた露出多めのギャル大好き♡みたいな感じなのに、

なんで私にこんなに構ってくるんだろう…

『ねえ、まだ康二もいんの？』

「いますよ」

『だぁー！めんどくせぇな、』

康ちゃんのこと面倒くさいなんて最低。

私からしたら貴方の方が十分に面倒くさいですけど。

『で？康二とはどうなの？Aちゃん』

「どうって、別に深澤さんに関係ありません」

『いや、関係あるから。』

＿＿俺、Aちゃんのこと本気で好きだから。

急に真面目な表情、真剣な声になる深澤さん。

鋭くも見えるその瞳に捕らえられた私は、どうしたらいいのか分からない…

と同時に、

こうやって女の子はどきっとしちゃうんだなって

わかる自分がいた。

「… もう帰る、！」

『え、照れちゃってんの？かぁいい〜！』

「深澤さん嫌いです！！」

そう言い残し、歩みを進めると、

“ 待って！ ” という声と共に、物が落ちる音がした。

気になって後ろを振り返ると、

深澤さんの大量の荷物が雪崩を起こしていた。

「… 手伝いますし、半分持ちます」

『悪ぃ、ありがと。けど荷物持つのはいいよ！』

「この量だとまた雪崩おきますよ？」

『じゃあ… これだけ持ってくれる？』

そう言って深澤さんが渡してきたのは、

30枚ほどの書類が入ったカゴだった。

『ごめんね、ほんと持ってもらっちゃって…』

「こんなの持ってるうちに入らないです」

ギリギリの状態で深澤さんの右手中指にかかっている袋を持つ。

『ちょ、Aちゃんいいって！』

「深澤さんうるさいです」

『えぇっ、Aちゃん…』

いきなりシュンとしだした深澤さんをおいて、一足先を進んで部署に戻っていると、

『… ほんと、そういうとこだから、Aちゃん、』

と、訳の分からない言葉が聞こえた。

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