Episode09.心の渇きを癒して ページ9
「私が米花町で1日署長ですか…」
毎年、この時期に1日署長に警察庁から何名か排出される。
有名人の1日署長はメディアに大々的に取り上げられて大きな行事となるが、市や町の署長は警察庁か警視庁の中から選ばれることが多い。
「来週の土曜、よろしくね」
課長にサラリ、とそう告げられ私は自分の椅子に座る。
渡されたパンフレットには既に私の顔写真が貼られていて、著作権の侵害になるのではないだろうか、と思ったが、写りはそれほど悪くないので許す。
詐欺対策の呼び掛けをするらしく、場所は公民館、それから町内を練り歩く、といった日程割。
「お、1日署長やんのか」
「警察服なんて何年振りだろう…ところで、東って警察学校出身なの?」
「俺は警察学校行ってねぇよ。Aは?」
私に話を振られ、警察学校時代を思い出す。
思い出すのはあの5人の顔。
「私は警察学校出身だよ。公安に行きたかったんだけど、警察学校時代の成績はダメダメで、国家公務員1種も落ちちゃって…」
「でもAなりに頑張ったんだったらいいんじゃねぇの」
「…東、熱でもあるの?」
普段、からかう東が慰めてくれると思ってなかったから拍子抜けしてしまった。
「ま、こんな公安やだもんね」
いつもの東で、少しでも見直した私が馬鹿だった。
♢
お昼ご飯を食べていると降谷 零、の表示と共にバイブ音が鳴り、慌てて電話に出る。
「零君!お疲れ様」
「A、定期、鞄の中に入れておいたよ」
「昨日はわざわざ迎えに来てくれたんだよね。ありがとう。あ、そうだ、東が何か失礼なこと言ってたらごめんね」
「東?あぁ、彼のことか。A、あんまり人の前で飲みすぎるなよ」
零君から注意されて、何だか嬉しかった。
「ごめんなさい。じゃあ、お仕事頑張ってね」
そう言って切る。
まだまだずっと電話をしていたい気分だけど、零君はお仕事大変だろうから。
「零君、頑張れ」
届くことのない言葉を携帯に込めて、私は午後の仕事に勤しんだ。
Mojito
ラムをベースに、ミント・ライム・炭酸水等でさっぱり仕上げたカクテル
意味は(心の渇きを癒して)
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柊(プロフ) - 小説読みました!!! 面白かったです!更新頑張ってください!! (2019年4月5日 22時) (レス) id: 9cb1ed3aee (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - はじめまして!前作も読ませていただいていました!こちらのお話も素敵で大好きです!今後どうなっていくのか楽しみです。これからも応援しています♪ (2019年1月31日 12時) (レス) id: 43ab538aea (このIDを非表示/違反報告)
恋魔法ちゃん(プロフ) - RURUさん» コメントありがとうございます(*´-`)前作同様、応援してくださり大変感謝しております。 (2019年1月12日 14時) (レス) id: f14e05799e (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - 前回の小説も読ませてもらいました!今回の作品もとても楽しみに待ってました!!これからも頑張って下さい! (2019年1月6日 14時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋魔法ちゃん | 作成日時:2019年1月5日 10時