Episode05.恋する胸の痛み ページ5
いつも唇が触れるだけのキス。
それが心地よくて、でも零君から求められることはなくてなんだか虚しくなって、離れる。
「零君、ありがとう。じゃあね」
「A」
ドアを開け、外に出ると夜風が冷たくて私の火照った顔を冷やしてくれた。
「ん?」
「また行こう」
「うん」
彼の優しさがいつも私を零君から離れさせてくれない。
狡いよ、零君。
私はずっと零君が好きなんだよ。
でも、いいの。
これでいい。
「零君、大好きだよ」
「知ってるよ」
私は彼のRX-7を見えなくなるまで見送り、家に帰るとお父さんが二階に上がる途中で、ばったり会った。
「ただいま、お父さん」
「おかえり。零とデートか?」
「うん!この人形貰ったの」
私はペンギンをお父さんに見せる。
そんな私を、お父さんは頭を撫でた。
零君もお父さんもよく私の頭を撫でてくれる。
「零のことそんな好きか?」
「うん!大好きだよ」
なんの躊躇いもなく、私はお父さんに零君の気持ちを伝える。
昔から私は零君が大好き。
「零は恋人なんか作れないぞ」
「なら、落し物課に転属させてよ」
「警備企画課に零は絶対必要だ」
お父さんは零君のしている仕事も知っているし、零君が危ない仕事をしているのも知っている。
「あんまり零君に危ないことさせないでね」
「…仕事に私情はいらん」
そう言って階段を上って行った。
仕事のことになると厳しいお父さん。
でも、私は零君にもしも何かあったら…
自分の部屋に入り、棚に並べられている写真を見る。
そこには警察学校時代、仲が良かった5人と私が写っている写真が、輝いている。
「零君…」
陣平君、萩原君、 景光君、伊達君。
どうか零君を守ってあげて。
「私じゃどうにもできないから…」
本当は私がそばにいて、彼の仕事を手伝いたい。
でも自分の頭脳や体力じゃ敵わなくて、零君と警察学校でどんどん距離が離れた。
「…なんで落し物課なんだ」
私はペンギンの人形を抱きしめ、自分の無力さを悔いた。
Cacao Fizz
はじけるような炭酸に、ほんのりと甘く香ばしいカカオの味が美味しいカクテル。
意味は、(恋する胸の痛み)
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柊(プロフ) - 小説読みました!!! 面白かったです!更新頑張ってください!! (2019年4月5日 22時) (レス) id: 9cb1ed3aee (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - はじめまして!前作も読ませていただいていました!こちらのお話も素敵で大好きです!今後どうなっていくのか楽しみです。これからも応援しています♪ (2019年1月31日 12時) (レス) id: 43ab538aea (このIDを非表示/違反報告)
恋魔法ちゃん(プロフ) - RURUさん» コメントありがとうございます(*´-`)前作同様、応援してくださり大変感謝しております。 (2019年1月12日 14時) (レス) id: f14e05799e (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - 前回の小説も読ませてもらいました!今回の作品もとても楽しみに待ってました!!これからも頑張って下さい! (2019年1月6日 14時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋魔法ちゃん | 作成日時:2019年1月5日 10時