【降谷 零】TIME OUTSIDE SERVICE 2【名探偵コナン】

Episode99.HELIOTROPE(END) ページ49

「まま！ぱぱ！」

降谷 (人2) 4歳。
今日は幼稚園の運動会。
観客席にシートを敷き、私と零君が(人2)ちゃんに向かって手を振る。

「零君、よく休みとれたね」
「小さなお姫様との約束だったからね」

今でも親バカっぷりは変わらず、ただ、零君はまだ公安警察で、日々正義のために戦っている。

「次は、てんとうむし組のかけっこ競争が始まります」

アナウンスで(人2)ちゃんの組が呼ばれ、ビデオカメラを回す。
零君が心配そうに見つめる。

ピストルの音が鳴り響き、次々と他の子が走っていく。
次が(人2)ちゃんの番になった。

「よーい、どん！」

掛け声とともに、走り出す(人2)ちゃん。
結果は2番。
悔しくて泣きながら、こちらへ走ってきた(人2)ちゃんを私達は出迎えた。

「お疲れ様」

私の胸で泣く(人2)ちゃん。
零君が(人2)、と呼ぶと鼻水でぐちゃぐちゃな顔を零君に向ける。

「かっこよかったよ」
「…ぱぱぁ」

今度は零君に飛びつき大声で泣くものだから、周りの保護者がクスクスと笑っていて少し恥ずかしかった。
お昼前には運動会が終わり、3人で手を繋ぎながら歩く。
もうすっかり元気になっている(人2)ちゃん。

「ねぇねぇ、ぱぱ、だっこ！」
「しょうがないな」

そんなこと言ってちゃっかり抱っこする零君。
甘いなぁ。
なんだか、零君とこうして歩いていることがすごく奇跡みたいだ。

今、彼との間に大切な子どもがいて、隣には零君がいる。
世界一の幸せ者はきっと私だ。


「A」
「まぁま！」

そんな考え事をしていると、零君と(人2)ちゃんに名前を呼ばれ我に帰る。
(人2)ちゃんを肩車して、彼は手をこちらに伸ばしている。

私はその手を取り、3人で帰路へ目指した。
私は、この手を絶対離さない。この時間を私は一生忘れない。

「まぁま、ぱぁぱ、だぁいすき」


未来へ、3人で歩いて行こう。
私は一生、零君のそばにいる。


「愛してる」

その言葉は春風に吹かれ、どこまでも遠くへ飛んで行った気がした。





HELIOTROPE／ヘリオトロープ(愛よ、永遠なれ)

-END-

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