Episode85.ALSTROEMERIA ページ35
「私の知り合いに警察官がいてね。殉職したんだ。君のその仕事はどういう仕事なんですか」
「…そうですね。簡単に言えば、日本を陰から守る仕事です。仕事内容は詳しく伝えることはできません」
「お父さんもお母さんも、零君の仕事は他人にペラペラ話せるような仕事じゃないの。だからこのことは他言しないで。零君は私の両親だからって信じて言ってくれてるの」
「わかったわ。零君、気分を悪くさせたらごめんなさいね」
「いえ」
零君はバツが悪そうに笑った。
自分の仕事が言えないことは、それだけ私の両親の不信感を買う。
それが零君にとっては嫌なことなのかもしれない。
「今、僕の家でAさんは暮らしてもらっています」
唐突な零君の発言に両親は驚いた。
「まぁ…そうなのね」
「その前に一度ご挨拶をしておくべきだったことをお詫び申し上げます」
それと、と彼は続けた。
「Aさんと結婚を前提にお付き合いをすることを許して頂きたいです」
彼ははっきりそう言った。
彼がいつもよりも、もっと、もっとカッコよく見える。
堂々と私の両親に正直に自分の本名も、職業も伝えた。
「まぁ、Aも20歳を超える大人なんだし好きにすればいいと思います」
お父さんが無愛想にそう言った。
彼がいつもより緊張していることがなんだか可愛い。
「今日泊まるホテル決まってるの?」
「それがねぇ。Aちゃんの家に泊まる予定だったから」
「それならここから徒歩3分のホテルを予約しているので、良かったらそこに泊まってください」
零君がそう言った。
「まぁ、悪いわねぇ」
「優待が効くので実質、無料なのでチェックアウトの際のお支払いは結構です」
嘘つき。
きっともう支払ってあるくせに。
私の両親を大切に扱ってくれることが、もっと彼を好きにさせた。
夜の9時、お支払いは零君が済ませて両親と別れる時、
「A、零君のこと支えてあげなさいよ」
「うん」
「A、また彼と一緒に帰って来なさい」
「お父さん…ありがとう」
両親は零君を認めてくれたと思う。
そりゃあ、零君のことを認めないでっていう方がきっと難しい。
「零君」
お父さんは零君の名前を呼んだ。
「Aは昔っから危なっかしくて、ドジだけど、努力家でいい子なんだよ。そんな娘をよろしくお願いします」
お父さんはそう言って頭を下げた。
ALSTROEMERIA/アルストロメリア(未来への憧れ)
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恋魔法ちゃん(プロフ) - red cherryさん» ありがとうございます。次作も必ず、面白い作品となるよう善処致します! (2019年1月12日 14時) (レス) id: f14e05799e (このIDを非表示/違反報告)
恋魔法ちゃん(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます(^ ^)何度も読み返したい、と思ってくださる作品を創り上げられたことを大変うれしく思います。 (2019年1月12日 14時) (レス) id: f14e05799e (このIDを非表示/違反報告)
red cherry(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品とても好きでした!次作もおもしろそうなので楽しみです (2019年1月7日 23時) (レス) id: 99383d6c30 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後までハラハラドキドキで。結末もえぇ、生きてたん?!みたいに驚かずを得ませんでした笑本当に最高でした!何回も読み返しますねw (2019年1月7日 2時) (レス) id: 11877b3e5f (このIDを非表示/違反報告)
恋魔法ちゃん(プロフ) - キリさん» コメントありがとうございます(^ ^)長らくご愛読いただき、本当にありがとうございます。コメントのお言葉が本当に嬉しくて嬉しくて、とても励みになります(*´-`)これからも贔屓によろしくお願いします。 (2019年1月6日 23時) (レス) id: f14e05799e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋魔法ちゃん | 作成日時:2018年12月3日 22時