【降谷 零】TIME OUTSIDE SERVICE【名探偵コナン】

Episode10.SOAP BUBBLE ページ10

「本日はご来場、誠にありがとうございます。今日の入場はこのパスリングをつけてもらいます」

スタッフの方が今日限りの可愛いブレスレット端末を渡してくれた。
これで、今日はパークの出入りが自由なのだそうだ。
夜の盛大な花火パレードを見る客も沢山いるのでこの端末で管理するらしい。


まずは皆で被り物を見に行く。
このパークの可愛いキャラクターをモチーフにしたカチューシャや帽子があった。
子ども達が自分のお気に入りを探す中、私は安室さんの被り物を探す。

「Aにはこれがいいんじゃないかな」
「猫耳ですか…ちょっとキツくないでしょうか」

今年で23歳になる私が猫耳はどうだろう、許容範囲かなと迷っていると安室さんは猫耳のカチューシャを私の頭につけてくれて

「うん、可愛いよ」

満足そうに笑う彼に頰のキャンパスが赤く染め上がって行く。
その顔を隠すように彼の被り物を探すと、子ども達が駆け寄ってきて

「安室さんはこれ！！」

そう言って、黒いもこもこのクマの耳がついた帽子を持ってきた。
可愛い彼にピッタリの帽子だ。

「僕こそ、この歳になって被り物は…」

苦笑いをする安室さんに私はなんとか宥め、被ってもらうことに成功した。
可愛い…純粋にその姿の安室さんが可愛い。

パーク内を歩いていると、JKの女の子数人が安室さんに写真を一緒に撮ってくれと頼んだ。
彼は写真を断ると、JKと楽しそうに話し込む。

「Aお姉さん、いいの？」
「女の子にモテモテだなアイツ」
「Aさんという彼女がいるのに許せないですね！」

私の代わりに怒ってくれる優しい子達がいるから平気だ。
ふと安室さんを見ると、JKとはもう喋っていなかったが電話をしていた。
少し焦った顔をしたようにも見える。

次にコナン君と少し話し込むとこちらに向かってきた。

「おめーら、悪い。急用ができて安室さんと別行動することになったからAさんの言うことちゃんと聞くんだぞ」
「えー！コナン君どこに行くの？」
「後で合流すっから、楽しんどけよ！」

そう言ってコナン君は走って行く。

「A、子ども達を頼みます」
「…安室さん、」

行かないで____
その言葉は喉まで出かかっていつものように飲み込んだ。

「任せてください」
「ありがとう。また連絡するよ」

彼はコナン君を追ってやがて人混みに消えてしまった。
何も教えてくれない彼。
でもきっと彼は帰ってきてくれる。







SOAP BUBBLE(消えた彼との時間)

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