【降谷 零】TIME OUTSIDE SERVICE【名探偵コナン】

Episode49.THE TRUTH ページ49

「A！」

彼は必死に私の名前を呼んで、強く抱きしめた。
繋がれている手錠の金属部分が痛いけどそんなのはどうでも良い。

「安室さん、帰って来てくれたんですね」

彼がなぜここにいるのか、どうしてこんなに傷だらけなのか私は悟った。
彼は喫茶店の店員じゃない。
かといって、私立探偵でもない。
彼は…

「安室さん、爆弾がここにあるんだ」

コナン君は消火器を指差した。
安室さんは私から離れ、何かをしている。
トラップが仕掛けられているようで安室さんは器用にこなす。

その時、もう1人の見知らぬ男性が上から下りてきた。
なぜかその落ち着きは沖矢さんの雰囲気に似ている。

「赤井さん、爆薬は？」

この男性3人がしている話は爆弾が色々な所にあって、爆発するとこの観覧車が崩壊するらしい。
安室さんが爆弾処理に、赤井さんと言う男が何か撃ち落とすとか銃とか正直、ドラマを見ているようだった。それを冷静に受け止めている安室さん。

いつのまにか私と安室さんは2人きりになった。

「なんだか爆弾処理をする時にいつも私がいるような気がします」

これで彼の爆弾処理を見るのは3回目だった。
彼はそうだね、と言って微笑んだ。

「安室さん、あなたは誰ですか？」

安室さんは一瞬手を止めたがすぐに再開した。

「私、安室さんの全部を受け止めたいんです。私は貴方と一緒に歩きたい」
「降谷 零、これが僕の本名です」
「…名前、嘘だったんですね」

いつかの電話で聞いた降谷、という名前が彼の本名だった。
それから彼は全てを話し始める。
どうしてポアロで働いているのか、バーボンとはなんなのか。

「…なら安室さんの本業ってなんですか？」
「公安警察です」
「警察ですか…」

彼とは無縁だと思っていた警察。
しかもよく知らない公安という部類。
公安…

「風見さん…」
「どうしてその名前を？」

今日、警察病院で彼女を連れていったのが彼だと言うと安室さんは僕の指示だと言った。
風見さんって安室さんの部下ってこと？
私はすごく、とんでもない人と付き合っているのではないかと感じた。


♢


爆弾解除が行われ、手錠が外されるとすぐに観覧車から避難するよう安室さんが見送ってくれた。

「待ってください！安室さんは？それに、子ども達がまだ乗っているんです！」
「僕はAの命が優先なんだ。子ども達も助けるから君はここにいてくれ」

彼は逞しかった。
その意味がやっとわかった気がする。







THE TRUTH(真実)

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