Episode25.TREASURE ページ25
「A、お待たせ」
間違いなく安室さんの声で、私の名前を呼ばれた。
振り向くと、安室さんが近寄って来て私の肩を掴み自分の方へ引き寄せストーカーに向き合う。
「お客様、本日は閉店なのでお帰りいただけますか」
「ッチ」
舌打ちをしてストーカー男は安室さんに近づくとワザと肩を当て、立ち去っていく。
「大丈夫ですか?」
すかさず安室さんの肩を心配するが、安室さんは気にもしていないようで見慣れないスマホ端末を私に見せた。
「…これは?」
「さっきの男の持っていた携帯です」
肩が当たった時に盗んだと言うが、そんなこと普通の人にはできない。
そんな私の考え事を気にもかけず安室さんはその男のスマホ端末の電源を入れた。
写真のアルバムを開くと、一瞬で鳥肌が立つのがわかる位寒気とともに悪寒が走る。
「私の写真…」
私の写真が何百枚にもわたって保存されていた。
何度かシャッター音が聞こえたのは聞き間違えではなく、あの男の主張音。
「悪趣味ですね。これを証拠に警察に提出しましょう」
「は…はい」
正直、怖さよりも安室さんの手際の良さに驚いて反応に困った。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です!安室さん、頼りになりますね。ありがとうございます」
「可愛い人は何かと大変ですね」
可愛い、確かに安室さんは私にそう言った。
自慢ではないが大学生の時に1年付き合って以来、男の影はこれっぽっちもないし
ましてや可愛いと異性から言われたことは無い気がする。
「あ…えっと」
動揺してしまい、呂律がうまくいかない。
きっと安室さんの事だから深く考えてないだろうしお世辞なんだから気にするな。
そう言い聞かせながら深呼吸を間に挟む。
「安室さんわざわざこんな時間までありがとうございます。
明日、警察に行ってみます」
「送ります。車を出してくるので少し待っていてください」
「でも悪いです…」
そんな私の遠慮を押し切り、安室さんは車を取りに行った。
外で待っていると1組のカップルが楽しそうに談笑しながら横切っていく。
幸せそうで微笑ましいな、と思っていると安室さんの車が私の前に止まり、ドアを開け乗り込む。
「本当にありがとうございます」
「家までの道案内よろしくお願います」
安室さんがもし彼氏だったら、幸せなんだろうなぁ。
手を繋いで、キスをして、色んなことをして、それが安室さんだったら…。
そんな邪な考えをした自分が凄く恥ずかしかった。
TREASURE (私の未来の宝物)
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恋魔法ちゃん(プロフ) - 明里香さん» 返信が遅くなり申し訳ありません。ご指摘のコメントありがとうございます。今更ですが、訂正させていただきます。ありがとうございました(*´-`) (2019年1月6日 23時) (レス) id: f14e05799e (このIDを非表示/違反報告)
恋魔法ちゃん(プロフ) - 空さん» 返信が遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます。続編も楽しんでいただけていましたら嬉しい限りです(*´-`) (2019年1月6日 23時) (レス) id: f14e05799e (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 42話に誤字がありました。「火事じゃないら」ではなく、「火事じゃないから」です。 (2018年12月16日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 9話に誤字がありました。「皆んな」ではなく、「皆」です。 (2018年12月16日 11時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
空 - 続編おめでとうございます!これからも楽しみにしてます! (2018年12月3日 22時) (レス) id: 040b745b0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:恋魔法ちゃん | 作成日時:2018年11月3日 20時