【降谷 零】TIME OUTSIDE SERVICE【名探偵コナン】

Episode18.FIRE WORKS ページ18

「A、これどうぞ」

安室さんと合流した時、ビニール袋を渡して来た。
中を見ると焼きそばとお箸が入っていていい匂いが漂い腹の虫が鳴る。

「もうすぐ花火の時間なので行きましょうか」
「はい！」

そこの河原で焼きそばは頂くことにして手を繋ぎながら歩く。
ベルモットさんと会ったことを話そうか迷ったけれどベルモットさんには少し興味があるし、きっと安室さんはベルモットさんと会うのを許さない。
だから事後報告でもいいかな、と思って先ほどのことは言わなかった。

河原へ行く途中、かき氷を落として泣いてしまっている子どもにお母さんとお父さんが慰めている姿を安室さんは見ていた。

「安室さんは将来、いいお父さんになりそうですよね」
「どうして？」
「お料理が上手で優しいからです」

周りの声が五月蝿いけれど、それすらも気にならないくらい彼との距離は近い。

「A」

私が安室さんの方へ向くと彼の唇と重なったことに気づく。
すぐに離される唇に名残惜しさも感じつつ

「珍しいですね。安室さんがこんな所でするなんて」

安室さんは基本的に人がいる所でキスしない。
だからこそ、私は嬉しかった。

「浴衣姿のAとはキスしてないことに気づいてね」

河原につき、シートを下にして座り2人で焼きそばを食べる。
安室さんが作ってくれる焼きそばの方が美味しいけれど、2人でこうやって過ごす時間が本当に幸せ。

花火の音と、どこかで玉屋と叫んだ声で空一面に火の花が咲いた。

「始まりましたね」

隣を見ると安室さんは花火に夢中だった。
花火の光で照らされる彼の横顔が綺麗で花火よりもこっちをずっと見ていたい。

「安室さん」

私の微かな声を安室さんは聞き逃さず、耳を近づけてくれる。

たくさん聞きたいことはあった。
降谷さんとは誰なのか、バーボンとは誰なのか。


もし、あの電話越しに呼ばれていた名前が“降谷”で間違いないのなら、私は彼の顔を3つ知った。
1つ目は安室透、2つ目はバーボン、3つ目は降谷さん。
どれが彼？

「いなくならないと約束してください」

彼のことは余計に詮索をしないことが私と彼の約束。
だからどれだけ知らない彼が出てきても彼のことは追求しない。
でも…

「いなくならないで」
「わかりました」

そう言って笑う彼。
花火に照らされたその顔がすごく綺麗。

「嘘つき」

今度は花火の音にかき消され、彼の耳には届かなかった。







FIRE WORKS(それはまるで恋心のように)

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