【降谷 零】TIME OUTSIDE SERVICE【名探偵コナン】

Episode01.MUTUALLY ATTRACTED ページ1

「安室さん、お待たせしました！」

米花駅前、午前11時のお知らせを時計塔が知らせ、時計塔の前に立つ
綺麗な金髪の碧眼を持つ彼の前に私は駆け寄る。

「おはよう、A」

彼の声で彼の口から奏でられる自分の名前は特別。
それだけで私は世界一の幸せ者になれる。
周りの女の子達が彼を見てコソコソと耳打ちしながら頰を赤らめて見ていた。
その光景は一応、彼の彼女としては面白くない。

「相変わらずどこに行っても安室さんの人気は健在ですね」
「A、いい加減安室さん呼びはやめてほしいな」

ボソッと呟き、私の手を握りしめ私を見詰めるその瞳に可愛くない嫉妬心なんて
どこかに消えて女の子達に負けないくらい頰が赤くなった。

「行こうか」
「…はい」


安室 透。それが私の彼の名前。
29歳で喫茶店のアルバイトをしているが、私立探偵もしているようで
生活が不規則なのか中々休みが合わず、本当にたまにしかデートらしいデートはできない。
彼は私に何か隠し事をしているのは薄々わかるけれど、それを追求するつもりはない。
なぜなら、そういう“約束”だから。

「安室さん、最近、ポアロで見かけませんでしたけどまた探偵のお仕事ですか？」
「僕を必要としてくれる人がいるからね」
「体調、壊さないようにしてください」

ありがとう、と微笑み私の手を握る力が少し強くなった気がした。
彼は基本的にメールの返信を返さない。
彼は忙しいんだ、と自分を納得させ寂しさを出さないようにしている。

ショッピングモールに入り、服を見回り安室さんに似合う服を見立ててもらう。
彼は優しいので、女の買い物が長くても文句は一切言わない。
試着室で何着か安室さんにファッションショーをしていると急に安室さんが
近づいて距離が近くなる。

「安室さん…？」
「男客が先程からAを見ているので、つい。服を直してくるので、着替えていてください」
「ありがとうございます」

意外に嫉妬心は強い気がする彼だが、束縛はない。
それだけ私のことを信用してくれているのかもしれないし、そんな心配は皆無だけど。
着替えを終えて外に出ると安室さんが服の紙袋を私に手渡してきた。

「これ、僕からのプレゼントです」


紳士的な彼。
でもその優しさは嘘を隠すための道具なんじゃないか、と私は感じる。







MUTUALLY ATTRACTED(惹かれ合う2人)

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