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そらる視点
笑顔の来葉さんと引き攣った笑いの俺。
4人用のスマ〇ラは、この人数だと必ず2人余ってしまう。
じゃんけんで負けてしまった俺達はソファで談笑していた。
「でも、お姉ちゃんにこんなに沢山のお友達が出来たなんて、妹としては嬉しい限りです!まあ、男性ばかりなのは若干怖いですが。」
話していて気づいたけれど、来葉さんは饒舌だ。
そして、アスが大好きだ。
「あはは…でも、ほんとアスとは仲良くさせてもらってます。」
「お姉ちゃんの楽曲は全部最高ですからね!」
「でも、その前から実はネッ友でして。それ繋がりで仲良くなったんです。」
へぇー!と顔を輝かせ、来葉さんは言った。
「私も実は、会いたい友達がいるんです。まあ、名前も住所も分からないんですが…」
自嘲気味に笑う来葉さんは、やっぱりアスに似ている。
儚くて、壊れそう。そんな雰囲気が漂っている。
目の前の4人は、どうやらアスが坂田と天月を1スタックずつ削ったところらしい。
「実は、俺もです。俺も、会いたかった友達いました。まあ、あのもう会えないと思うんですけどね。」
「わあ、奇遇ですね!もしかして、文通とかですか?」
「よく分かりましたね。そうです。」
実家からわざわざ持ってきたあの子との手紙を思い出し、俺は笑った。
だけど、先程までにこにことしていた来葉さんがふいに顔に影を落とし、考え込むような表情を浮かべる。
「俺が高校生くらいの時までしていたんですけど、その子が病気になって、苦しすぎて自 殺したいっていう内容の手紙が来て。それ以来来てないんですよね。」
「病気……自 殺………」
「そういえば、来葉さんも小さい頃体が弱かったんですよね?なんか、雑誌でみたんですよね。」
はにかむように笑う俺。
だけど、来葉さんはかなり考え込んでいて目が泳いでいる。
だが、その時だった。
「……中学生辺りの時、かなり重い心臓病になったんです。その頃、家庭も崩壊気味で心も病んでいて、何度もしにたくなりました。でも、文通相手の子からの手紙のおかげで、私は生きられたんです。」
そう言うと、1度だけ言葉を切って来葉さんは泣きながら笑った。
「アイくんのおかげで、生きられたんだ。」
「え……は…?」
俺は絶句した。
嘘…だろ?その、名前…
俺は、少しの間だけ、流れる涙に知らんふりした。
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梅餅(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます!メチャ嬉しいです!!更新頑張ります! (2019年12月19日 20時) (レス) id: d60510a5f6 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2019年12月19日 17時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
梅餅(プロフ) - 黒雪 冬華さん» 黒雪さん!お久しぶりです!全然考えずに書いてたんですが、このままシスコンで押してく路線に変更します!ありがとうございます笑 (2019年10月8日 20時) (レス) id: d60510a5f6 (このIDを非表示/違反報告)
黒雪 冬華(プロフ) - お久しぶりです!やっぱ面白いです。妹さん、シスコンと見た←安っぽい推理である (2019年10月8日 17時) (レス) id: 4eb5adcd65 (このIDを非表示/違反報告)
梅餅(プロフ) - かのさん» コメントありがとうございます!ちょこちょこ見てるんですけどほんと面白いんですよね笑ライブ楽しんできます!ありがとうございます! (2019年6月22日 10時) (レス) id: d60510a5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梅餅 | 作成日時:2019年6月13日 18時