風邪引きさん ページ28
*
ということがあったのが、つい昨日のことだ。
僕はいつも通り作業部屋にいる。
けど、
「ああああ進まない″い″い″」
Aの体調が心配過ぎて、さっきから一向に手が動かない。
ガチャバタン！とドアを開けて、Aの部屋の前まで行けば、ドアを背にして体操座り。
「……A…会いたいよ……」
昨日、天月くんが帰った後は、まだつらいのか唸る声が僅かに聞こえていたけれど、それも数時間ほどで落ち着いたらしく、部屋からはなんの音も聞こえない。
けれど、むしろそれも僕の心配を煽っていて、さっきから10分ごとにここに戻っている。
「チョットだけなら…大丈夫だよね？」
そっと上を見上げた僕は、金属製のノブに手を伸ばす。
3日もAに会えないなんてつらすぎる。少しだけ、少し、顔を見るだけだから……
でも、天月くんが「心配なのは分かるけど、体調悪い時はほんとに危ないから。」って言ってたし…
いやいや、僕はAの彼氏だもん！彼氏が彼女のつらいときに一緒にいられなくてどうするんだ！
その思いで、僕は立ち上がり、ドアノブを捻った。
その瞬間だった。
真正面から強風が叩きつける。
目も開けられないほどの強さのその風に抗い、薄く目を開けば、僕は思わず息を飲んだ。
ベッドの上で眠るA。しかし、部屋の中はぐちゃぐちゃで、壁もところどころに傷が付き、まるでこの強風に荒らされたみたい。
でも、部屋の窓は閉まっている。つまり、この部屋を荒らしたのは……
ばたん、とドアを閉め、僕は乾いた笑いをこぼす。
「あ、あれが…妖気………」
こりゃ確かに入っちゃダメだな。
けど、僅かに見えたAの表情はあの朝よりも和らいでいるように見えて、僕はほっとした。
よし、作業しよっと。
「あああああやっぱり心配だああ！」
結局、Aの部屋に戻って、またしばらく座り込んだのは、それから10分後のことだった。
ーーー
『え″、まふくん覗いたんですか！？』
うん、と頷けば、Aは大慌てで言う。
『だ、大丈夫ですか！？怪我とかしてないですか！？はっ、外傷はなくても、内傷があるんじゃ…』
「う、ううん！大丈夫大丈夫！」
『ほ、ほんとですか…？』
心配そうに僕を見つめるA。
大丈夫、と頭を撫でれば、眉間のシワを少し減らして言った。
『でも、ほんとに危ないので、ダメですからね？私はドア越しに声を聞けるだけでもいいので。』
やっぱりうちの彼女は可愛い。
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ちょこ - 了解です！更新するのの楽しみに待ってます！焦らなくていいので自分のペースで！ (2020年12月16日 18時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
梅餅(プロフ) - 月袖さん» こちらこそありがとうございます！応援とても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2019年7月14日 6時) (レス) id: d60510a5f6 (このIDを非表示/違反報告)
月袖(プロフ) - コメントレスありがとうございます！これからもずっと応援させていただいています！(勝手にすみません) (2019年7月13日 23時) (レス) id: 92b7fe9b9d (このIDを非表示/違反報告)
梅餅(プロフ) - 月袖さん» 返信遅れてすみません！コメントありがとうございます！リラックスしていただけて嬉しいです！ありがとうございます！！ (2019年7月12日 18時) (レス) id: d60510a5f6 (このIDを非表示/違反報告)
月袖(プロフ) - お話を読んでリラックスさせていただいています！ほんわかしているお話で凄く好みです！(個人的なことをすみません！)これからも更新頑張ってください！ (2019年7月9日 14時) (レス) id: 92b7fe9b9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅餅 | 作成日時：2019年7月5日 20時
