知って初めて気づくこと ページ8
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とんでもなく眠かった。
現在の時刻は朝の5時半。窓の外ではようやくお月様が眠そうにしだしたところ。正直まだベッドで眠れる。
なのに私がこうして眠い目を擦り、キッチンにたっている理由は他でもない。
「ねぇ、大は寝てていいんだよ？」
そう声をかけた私に、机で突っ伏していた大がもごもごと篭った声で言う。
「…料理中に倒れたら、危ないやろ……」
「会社で倒れる大の方が危ないと思うけど…」
昨日の夜、突然うちにやってきた大は私に「弁当作って。あと今日泊まる」と言い放った。なんて奴だ。ただ、何故かお弁当箱と少しの冷凍食品を持参してくれたのはありがたかった。
そして、大は本当にうちに泊まった。
まあ実際これは不定期イベントなので慣れている。
「ん〜ええ匂い〜……」
ソファで寝ていた大は、私が調理を始めるとむっくり起きてきた。それから数十分、寝巻きのままテーブルのところで寝たり起きたりを繰り返している。
「なんか、作ってたらお腹空いてきた…」
「ええやん朝飯それで…」
「ん…そうしよ」
ついでに私の分のお弁当も作る。
そういえば、お弁当なんて久々だ。高校以来くらいとかじゃないかな？
何となくそんなことをぼんやり考えていたら、手元が疎かになるのはもはや様式美で。
一瞬だけ走る痛み。
少しの間をあけて、じくじくと伝染してきた。
「いった…」
「っ、何しとんっ！」
ガタガタ、バタバタ。
本当に、大の耳はどうなっているんだろうか。
私が少し声を出しただけで慌ててキッチンにやってきた。
指先から赤い雫がぷくりと出てくる。
「ごめん。ぼーっとしてた」
「…絆創膏持ってくるわ」
すっかり目の冷めた大はテキパキと絆創膏を持ってきて、私の出る幕なく処置をしてしまった。
まあその後は特に変わったことも無くお弁当は完成し、2人で朝ご飯を食べた。
調理器具含め食器は大が洗ってくれた。感謝。
「はい、お弁当」
「ありがとA。急やったのに」
「いやこっちこそ突然呼び出すしお互い様」
スーツに着替え、サラリーマンになった大へお弁当を渡す。結構スーツが様になっている大が、ちょっぴり憎たらしくてかっこよかった。
直ぐに行くのかと思ったら、何故かこっちを向いたまま動かなくなる大。
何してるんだろうと思っていれば、ふいにぱちぱちと正気に戻ったように目を瞬かせ言った。
「行ってきますのちゅうは？」
「じゃ、ばいばーい」
突き飛ばして思いきり閉めてやった。
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梅餅(プロフ) - ふわ丸さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて感謝の限りです！ (7月22日 11時) (
レス) id: 19098535e6 (このIDを非表示/違反報告)
ふわ丸(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！！！ (7月21日 18時) (レス) @page32 id: 3811a438d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅餅 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/12Saku111/
作成日時：2020年6月14日 17時
