とうとう知られてしまったこと ページ12
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「あれ、大先生スマホ鳴っとるで」
いつものメンツでの飲み会。
ぎゃんぎゃんと騒ぎながら飲み明かしていれば、隣に座っていたロボロが声を上げた。
鞄から取り出せば、表示されるのは可愛い可愛い幼なじみの名前。
一言彼らにことわって、俺は外に出る。
繁華街は夜でも賑やかなもんだ。
「もしもーし」
『や、大』
電話越しに聞こえてきたいつものきらきらした声は、何故か楽しそうな声色をしていて、今日は何かあったかな、と記憶を辿る。
「どしたん急に電話かけてきて」
『…んー、別に、大の声が聞きたかっただけ』
この板の向こうではどんな顔しとるんかな、いつもみたいにニコニコしとんかな、そう考え出せば仕事の疲れも和らいでいて。
俺は思わず口角を緩ませた。
『ごめんね、飲み会なのに』
「いやええよ、ちょっと胃を休めたかったところやし」
まあ今日はまだましな日だ。
ゾムが日々の残業でへとへとなのが助かった。酔い潰しておかないと4軒は軽く連れ回されるので、総出でなんとかしようとしているところだ。
「あ、せや、弁当めっちゃ美味かった」
『ほんと？ありがと〜』
「なんか全然変わってへんな、味」
そういうとAは嬉しそうにくつくつと笑った。
その後少しだけ雑談をしていると、横のドアががらっと空いた。
「あ、おった」
そこにいたのはシャオちゃんだった。
「まだ電話しとったんか、そろそろ２軒目いくって」
「分かった……じゃあ、すまんなA、また弁当箱は返しに行くけん」
『はーい、じゃーねー大先生』
「じゃあなー」
ぴ、と通話を終える。
シャオちゃんはいつの間にか店に戻っていたようで、そこにはいなかった。
……あー無理、幸せ。
思いがけない幸福に酔いしれながら、俺は店に入ろうとした。
「………いやいやいや！ちょぉ、さっき何つった!?!?」
『もーうるさいなぁ、大』
電話の先からはさっきと変わらない間延びした声。
ただ、その声は笑っていた。
確信犯や！
「電話の！最後！何つった!?」
『じゃーねー大ー』
「絶っ対ちゃうやろ！」
寒気がする。酔いなんて吹き飛ぶレベルには。
「A？な？ゆうてみ？何つった!?」
『イヤーチョットナンノコトカヨクワカンナイナー』
あかん。
これは大変にまずい
その時、Aが小さく笑った気がした。
『……「皆俺の指示通りよぉやってくれた」』
聞こえてきたのは、言い慣れた1文。
俺は思わず頭を抱えた。
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梅餅(プロフ) - ふわ丸さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて感謝の限りです！ (7月22日 11時) (
レス) id: 19098535e6 (このIDを非表示/違反報告)
ふわ丸(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白かったです！！！ (7月21日 18時) (レス) @page32 id: 3811a438d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅餅 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/12Saku111/
作成日時：2020年6月14日 17時
