村の神話とミセバ様。 ページ2
放課後。私は言われた通りに教室で宵桜蘇芳……。蘇芳を待っていた。
「おまたせしました、苧環さん。」
「楓でいいよ。別にそんな待ってないし。」
「そうですか?なら良かったです。」
そう言った彼女の顔は、さっきの一時間目の前の微笑みではなく、純粋に、喜んでいる微笑みだった。
「それでは、話しますね。」
◇◇
「ちょっと待ってて。整理させてほしい。」
「はい、分かりました。」
……えーっと?まとめるとこうだ。
100年に一度、この村には白髪翠眼の女児が生まれる。これがそのミセバ様。その女児は神からの授かりものであり、16になった夜に神へ返さなくてはならない。神へ返す儀式を執り行うのは、宵桜家に生まれた黒髪紅眼の巫女だけなんだと。この巫女が蘇芳。これがこの村に伝わっている神話……伝承のようなものだ。で、そんでもってその神へ返すのがあたしたちと同い年なら執り行われるのは今年と。やばいなこれ。想像以上に重い。
「白髪翠眼の女児と黒髪紅眼の巫女。運命の因果で、この2つの命は繋がってるんです。」
「因果で繋がって……?どゆこと……?」
「気にしないで大丈夫ですよ。それより早く帰らなくては。もうそろそろ5時半を過ぎます。」
「っえ!?そんな時間!?急がなきゃ!蘇芳、話教えてくれてあんがと!また明日ね!」
「ええ、また明日。
……明日、ミセバ様が学校に来ます。話してみてください。これは、ミセバ様のためでもあり、あなたの為でもあり……。私、いや。僕のためでもあります。お願いしますね……。楓。」
「?わかった。ありがと、蘇芳。」
……蘇芳の言葉の最後、一人称が、“私”から“僕”に変わってた。きっとあれが蘇芳の素の姿だ。まだこの村のことも、蘇芳のことも、ミセバ様のこともわからないのに。もう面倒事に巻き込まれてる気がする。でも、あたしにはどうすればいいかわっかんないから。
「今を精一杯生きて、自分のためになる1番の選択をしよう。それが……」
それがきっと、あたしの最善択だから。
◇◇
‘さすがミセバ様!このような学びなどいとも簡単にやってのけてしまうのですね!’
ねえ。
‘ミセバ様は我が村の希望ですわね!’
ねえっ。
‘ミセバ様がいれば安心できますわ!’
ねえってば!
‘さすが、神からの授かりものに選ばれたお方ですな!’
ねえってば!
お願いだから……。
「ちゃんと私を“神の授かりもの”じゃなくて、わたしとして、見てよ……。」
✣✣
クソシリアス回。いやマジで。
頑張ります
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mia - すみません、この話は更新不可能になりました。申し訳ありません (9月2日 12時) (レス) id: 7d16e59b7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mia | 作成日時:2023年3月22日 18時