メロンパン IN THE PARTY11 ページ49
降谷零side
屋敷ユイの家から歩いて数分の川沿いの道。
猫川のつけてる通信機の位置情報を頼りに探す。
「ここにいたのか」
「・・・・・・ああ」
どこか上の空の猫川は緑に染まった桜の木を見上げるように立っていた。
「お前、もう少し命大事にしろよ」
「・・・・・・奴がガンマンな事は握手した時に気づいたよ。弾を抜いてるところはあえて見せてたし、お前や屋敷社長の方に奴の注意が向いてる時、銃の位置を入れ替えておいた。だからあれは必然の結果。命の危険は冒してない」
にしても、と言葉を切った猫川。
猫川の言い分にたくさんツッコミたいところはあるがとりあえずは黙っておく。
「昔のお前ならアイツがナイフ1本の時点で懐に飛び込んで制圧してただろ。相手についての知識のせいか?ひよっただろ?」
少し首を傾げながら言う猫川。
その言葉に対してフッと軽く笑う。
「ひよったわけないだろ。そもそもお前が無茶するから被疑者が怪我してるんだ」
「チェッ。だってさぁ・・・・・・」
猫川は子供みたいに唇を突き出してそっぽを見る。
「だっても何もない。
それに、・・・・・・本当にお前が目の前で死ぬかと思ってヒヤヒヤした」
自分でも驚くくらい弱気な声が出た。
「死なねーとはいえないけど。死ぬ気はなかったよ」
「死ぬ気があったら困る」
そう言えば軽く笑った猫川。
その笑顔は警察学校の頃と全く変わらない。
「まあこの件でお前の勝手は不問にした。喜べ」
「そりゃどーも」
「また手を借りるかもしれない。その時は頼む」
「ハァ?金輪際手は貸さねぇけど?俺お前の協力者でもねぇし」
いつも通りギャアギャア騒ぐ猫川。
上の空だった時の哀愁漂う切なげなあの表情は消えた。
それに安堵しつつ気になるのもまた事実。
班長が昔言ってた猫川の過去のイザコザか?
「・・・・・・そんなに顔色悪かったか?俺」
俺が探るように見ていたことに気付いたのか、不安げな表情で眉を下げて言う猫川。
「ああ。何かあったのか?」
「いーや。ただ、ガキの頃、・・・・・・いろいろあった事を不意に思い出しちまった」
それっきりネコはその話題に触れなかった。
ポケットの中の携帯が鳴り出したのがわかる。
「ほら、出てやれよ。降谷警部」
「ああ。じゃあまたな」
「おう」
俺は電話に出て、猫川は大きなアクビをした。
371人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぶどう - フウマさん» 了解です!緋色シリーズのエピローグまで書いてから、検討します! (2022年5月17日 20時) (レス) id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)
フウマ(プロフ) - 過去編と純黒の悪夢とゼロの執行人、書いてほしいです! (2022年5月17日 19時) (レス) @page30 id: 5bc30b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぶどう | 作成日時:2022年5月8日 12時