メロンパン IN THE PARTY７ ページ45
「お世話になっております、屋敷社長。美坂です」
「部下の猫川Aです」
「あら、美坂さん？お久しぶり、お元気そうで」
昼間っからワイン片手に優雅に微笑む屋敷ユイ。
これからナンパしなきゃいけないターゲットだ。
容姿や服装、世間的地位から察するに軽いナンパには引っかかってはくれないだろう。
やるならハニートラップぐらいの、大人なお誘い。
頭を知的で紳士、教養のある男に設定する。
そういや、あの赤ワイン･･････
色合いは、透き通るほどに淡く鮮やかで、バニラの香りが強い。
フレンチオーク樽か？ってことは･･････
「屋敷さん。そちらのワイン･･････フランス、ブルゴーニュのものですか？」
「あら、わかるの？」
「ええ。割と鼻が利くタイプなんです。どうです？手相ならぬ匂い相でも聞きます？」
「ふっ。面白いわね。気に入ったわ、A君、だったかしら？」
どうやらこのキャラで気に入られたらしい。
ボロ出さないようにしねぇーと。
にしても、昔酒について調べてたのが役立つな。
ワインなんてかじった程度だからヒヤヒヤした。
「匂い相なんて初めて聞いたわ。他にも何かわかる事あるのかしら？」
「そうですね･･････昨日ホテル杯戸プライドで一夜を過ごされましたね？」
「さっきのお酒といい、坊やが知ってて良い内容かしら？」
「坊やって･･････貴方と歳の差10もないですよ。それとも、坊やじゃないって証明しましょうか？」
そっと屋敷ユイの手に自分の手を重ねて、距離を詰める。
「まだ真っ昼間よ」
「すいません。だから坊やなんて言われるんですね」
手を離し肩をすくめる。
大人の余裕。大人の余裕。
「けど驚いたわ。よくホテルがわかったわね」
「ああ･･････あのホテルはシャンプーやボディソープに少々こだわってるらしくて。その匂いですよ」
「ふぅん。どうにも鼻が利きすぎるみたいね。そう、まるで探偵のよう」
屋敷ユイの疑うような視線。
ゆっくりと口角の上がる真っ赤な唇。
シャンプーとボディソープの優しい香り。
高い香水と煙の混じった独特の匂い。
『探偵気取りかしら？坊や』
頭の中に蘇る声。
クラクラするような感覚。
落ち着け。今は関係ない。
今俺がやるべきなのはこの女の注意を逸らすこと。
唾を飲み込む。
まだ何も口にしてないはずなのに潮の苦い味がした。
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ぶどう - フウマさん» 了解です！緋色シリーズのエピローグまで書いてから、検討します！ (2022年5月17日 20時) (
レス) id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)
フウマ(プロフ) - 過去編と純黒の悪夢とゼロの執行人、書いてほしいです！ (2022年5月17日 19時) (レス) @page30 id: 5bc30b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぶどう | 作成日時：2022年5月8日 12時
