メロンパンの思い出 ページ2
「はいはい、覚えてるって。今日の夜に、いつもの店だろ？」
《そう。くれぐれも遅刻すんなよ。また遅刻したら、陣平ちゃんに殴られても知んねーぞ》
「わぁーってるって、萩原」
電話しながら廊下を歩く。
スーツに身を包み、ようやく慣れたフロアを進む。
《そうだ、新聞見たよ。デッカい詐欺のヤマおさえたって？》
「まあそれが本職だしな」
《俺たちも日々こき使われてるよ》
「そーゆー話は酒のつまみに取っとこうぜ」
《それもそうだな》
萩と話してるって事は刑事になって１年目か。
この頃俺は他の同期たちより一足早く交番勤務を終え、捜査二課に異動になった。
推薦で爆処に行った萩原や松田とはよく飲みに行く仲だ。
「猫川ァ！西多摩市の美術館で窃盗だ！出るぞ」
「わかりましたー！」
ガラケーを離して大声で叫んでから、ガラケーを再び耳につける。
「つーわけで、ダルいけど俺仕事だから」
《おう、頑張れよ。んじゃ、また今夜》
･･････あぁ。そうだ。思い出した。
この日は、７年前の11月7日。
《そうそう、アレさ、カッコ良く決まったから楽しみにしてろよ。じゃまた》
俺にとっての、萩原の最期の言葉が耳に響いた。
もう二度と聞くことのできない声。
こん時は、アイツスーツ新調したのか？それとも髪切ったのか？とか思って全く理解できなかった。
それに萩原の死でこんな会話があった事も忘れていた。
けど今ならわかる。
��アレ��は、俺の車、BRZのことだったんだ。
その日の夜、約束の時間になっても来ない２人。
２人揃って来ないって事は、緊急の事件でも起きたのかと、ボーッと待ってた。
居酒屋の扉を乱雑に開ける音がした。
開けたのは黒いサングラスに黒いスーツの不審者みたいな男。松田だ。
「おせぇじゃねーかよ」
「･･････」
ツカツカと無言で歩み寄ってくる松田。
様子が変だ。
サングラスは取らないし、もう11月だというのに汗だく。
「猫川･･････萩が殉職した」
「え･･････は？何？ドッキリ？」
受け入れ難い言葉に、頬を引き攣らせるようにして笑う。
松田が無言で今日の夕刊を見せてきた。
その中の記事の１つに視線を走らせる。
［爆弾解体中の警察官１名が死亡］
そこだけ妙にくっきりと見えた。
＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿
鈍い頭の痛みで目が覚める。
どうやら壁にぶつけたらしい。
嫌な目覚めだ。
ベットサイドに置かれた車のキーをぼーっと眺めた。
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ぶどう - 東雲虚さん» コメントありがとうございます！更新遅いですが、ふらっと立ち寄っていただければ幸いです！ (8月3日 15時) (
レス) id: 496ebaee13 (このIDを非表示/違反報告)
東雲虚 - 今一番好きな作品です とても面白かったです！続き楽しみに待ってます！更新頑張ってください(o^^o) (7月10日 21時) (レス) @page32 id: 272de617c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう - 早桃さん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです！更新遅いですが、楽しんでもらえれば幸いです。 (2022年12月19日 7時) (レス) id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - え、めちゃすこです、、、面白すぎて一気に呼んじゃいました！映画の話とかもあって楽しいです！警察学校組の話しとかも楽しみです！これからも無理せず更新頑張って下さい！応援してますぅぅぅ！ (2022年12月7日 7時) (レス) @page13 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
じ - 作品すごおい好き。だ◯まるしぇで食べたよ。おいしかた (2022年10月9日 19時) (レス) id: 3b27f251de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぶどう | 作成日時：2022年9月30日 20時
