メロンパンの独白4 ページ9
崖の下を覗き込んだ警官の1人がゆっくりと首を横に振る。
呆然と突っ立つ俺の胸ぐらを赤木さんが掴んだ。
「何で、何で、真実を告げた!アイツの愛の重さなんて見りゃわかるだろ!探偵ならこうなる事くらい、推理しておけよっ!」
沈黙を守り、必要最低限の事しか話さない寡黙な赤木さんが怒鳴った。
衝撃的だったが、俺は心ここに在らずで、放心状態で聞いていた。
「俺はあの日、伏見の手を離した。伏見を殺したのは俺だ。だから、別に冤罪でも何でもない!俺が罪を被り罰を受け、アイツから恨まれて。それでよかったんだ!」
「落ち着きなさい!相手は子供だぞ」
橋本さんが赤木さんを羽交締めするが、赤木さんの手は俺の胸ぐらを掴んで離さない。
「犬猿の仲だったけど、それでもアイツは青春を共にした仲間だ。アイツが生きようと思うためなら俺は一生恨まれる覚悟だった」
段々と赤木さんの声に覇気がなくなり弱々しくなっていく。
「けど、お前ばっか責めるわけにはいかないな。正直、自分の罪を晴らしてもらえると嬉しくなって、俺もお前の推理を遮らなかった。止めなかった。
だから、
・・・・・・お前と俺で、この罪を背負って生きるんだ」
俺は何も言えずにただ赤木さんの目から流れる雫を見つめていた。
それからどのくらい時間が経ったのだろう。
刑事たちは撤収し、赤木さんはもう1度話を聞くために警官に連れられて行ってしまった。
ボーッと沈む夕日を眺めていた。
「まさかシャルドネが痴話喧嘩で死んだとは思わなかったわ」
不意に背後から聞こえた声に振り向く。
「お姉さん、誰ですか?」
「A secret makes a woman woman ・・・・・・」
ブロンドの髪を揺らして、唇の前に人差し指を置く美人。
秘密は女を女にする・・・・・・?秘密ってことか?
風に乗って流れてくる女性の匂いを嗅ぎ取る。
「・・・・・・お姉さんアメリカのブランドものの香水使ってるでしょ?それに、血と硝煙の匂いが混じってる。もしかしなくても危ない人だね」
「ヒミツって言ったでしょ、坊や」
女は真っ赤な唇の端を上げた。
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ぶどう - 颯さん» コメントありがとうございます!もうすぐ続編出すので、これからも楽しんでくだされば幸いです。 (2022年9月29日 8時) (レス) id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)
颯 - はじめまして、繰り返し小説読ませて頂いています!とても好き、とにかく猫川さんの性格、言動、全て好きです。これからも読み返していこうと思います。頑張ってください! (2022年9月23日 21時) (レス) @page47 id: 65bc4a3600 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう - ( ・´ー・`)どやwさん» すいません、不親切でしたね。コメントで言ってもらって大丈夫です(むしろそれ以外の方法がわからない)。ルパコナは書く気満々です。コメントありがとうございました! (2022年8月29日 18時) (レス) @page46 id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)
( ・´ー・`)どやw - えっと…コメントで言って良いのか悪いのか…。コメントでリクエストをお願いします。それでルパコナでお願いしたい…!ゼロとメロンパンの執行人という素敵なお話有難う御座います!どんな最新話でも楽しみにしてます! (2022年8月29日 16時) (レス) @page46 id: 4e2cb1d965 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう - おと。さん» コメントありがとうございます!ただのめんどくさがりな三軽男なんですが、気に入ってもらえて嬉しいです。頑張らせていただきます! (2022年8月16日 19時) (レス) id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぶどう | 作成日時:2022年8月7日 11時