メロンパンと忘れられた車 ページ47
謹慎が明け、また日常に戻った。
「猫川君!食べながら歩かないの!」
「うるへぇ・・・・・・お前は俺の母親か」
メロンパンを咥えながら廊下を歩いてれば、佐藤にそう言われ、渋々メロンパンを手に持つ。
「母親じゃなくても気にするわよ。行儀悪い」
「はいはい。俺が悪ぅございやした」
近くを歩く刑事部の面々はいつものことかと通り過ぎ、そうでない人は何だ?と好奇の目を向けて歩いていく。
「・・・・・・A君?」
名前で呼ばれることなんて滅多にないため、反応が少し遅れた。
「やっぱり浅見の息子のA君だろ?そっくりだな。突然ですまない。爆処の三上だ。君のお父さんとは同期でね」
遠い記憶を辿ってみるがあまり覚えてない。
佐藤は空気を読んで、立ち去っていった。
「いやー、にしてもそっくりだなぁ。浅見もよくメロンパン咥えて歩いてたもんだ」
「ふぅん。んで、三上さんだっけ?爆処の人が何でこんなとこに?」
「車の事だよ。1回爆処に訪ねて来てくれてたろ?俺はいなかったけど」
「そうっス。てことはあるんですか?」
そう。先日を思い出した俺の車、7年前に中古で買ったスバルのBRZの事だ。
萩原と松田がスゲェいじり甲斐があるとか言ってたし、良い感じに改造するとか言うから、俺は車に興味ないしちょっとくらいならいっかと預けた。
それから数週間後、萩原が殉職した。
その事に気を取られてて預けた車の存在を完っ全に忘れてたわけだが。
「前から駐車場に停めっぱの車が1台あって、同僚に聞いたら萩原が乗ってたって言うから、処分しようかって話してたんだ。したら、松田・・・えーっと萩原の同期の奴なんだけど、そいつが萩原のじゃねーから置いとけって言ってさ。そんで今の今まで置いてあるわけよ」
駐車場の一角に停まってる車のボンネットに三上さんがそっと手を置く。
そっか。松田は覚えてたんだ、この車の事。
・・・・・・んなら教えてくれてもよかったんじゃねーか?
三上さんにはお礼を言って、車に近づく。
俺の車こんなんだったっけ?
たしかにスバルのマークついてるし、青だったけど。
こんなカッケータイヤじゃなかった気がするし、後ろにこんなのついてたっけ?
鍵は謹慎中に物置き整理してたら出てきたスペアがある。(もちろん電池は確認した)
ドアを開けて運転席に乗り込む。
うわ。ぜってぇー松田の野郎ここでタバコ吸いやがったな。
匂いに顔を顰めつつ、ハンドルを優しく撫でた。
・・・・・・だいぶ時間経っちまったけど、お前が今日から俺の相棒だな。
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ぶどう - 颯さん» コメントありがとうございます!もうすぐ続編出すので、これからも楽しんでくだされば幸いです。 (2022年9月29日 8時) (レス) id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)
颯 - はじめまして、繰り返し小説読ませて頂いています!とても好き、とにかく猫川さんの性格、言動、全て好きです。これからも読み返していこうと思います。頑張ってください! (2022年9月23日 21時) (レス) @page47 id: 65bc4a3600 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう - ( ・´ー・`)どやwさん» すいません、不親切でしたね。コメントで言ってもらって大丈夫です(むしろそれ以外の方法がわからない)。ルパコナは書く気満々です。コメントありがとうございました! (2022年8月29日 18時) (レス) @page46 id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)
( ・´ー・`)どやw - えっと…コメントで言って良いのか悪いのか…。コメントでリクエストをお願いします。それでルパコナでお願いしたい…!ゼロとメロンパンの執行人という素敵なお話有難う御座います!どんな最新話でも楽しみにしてます! (2022年8月29日 16時) (レス) @page46 id: 4e2cb1d965 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう - おと。さん» コメントありがとうございます!ただのめんどくさがりな三軽男なんですが、気に入ってもらえて嬉しいです。頑張らせていただきます! (2022年8月16日 19時) (レス) id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぶどう | 作成日時:2022年8月7日 11時