6話 ページ8
『私、いじめられてるから』
無感情にそう呟くと、彼はケロリとした態度でやっぱりな、と頷いた。
仁「屋上でよくリンチ受けとるじゃろ?」
『……知ってたの』
仁「知ってたというより、見えるっていうんかの……あそこ、俺のお気に入りの場所じゃき」
彼には全てお見通しだったわけか。
分かっていて、それでも私の口から事実を言わせたんだ。
でも、彼には無理に取り繕う必要もない。かえって気楽に話せるのかもしれない。
羞恥も劣等も今更だし……。
仁「お前、泣きも喚きもせんで、黙ってやられちょる」
『ハハ…』
仁「その目」
これでもかと言うくらいの至近距離で、目を指差される。
思わずのけ反ると、その手は引っ込められた。
仁「全て諦めて不幸背負ってます、みたいなその生気のない目じゃ」
『……』
仁「多分、それがムカつくんじゃないんかの。いじめ、長引かせとるかもしれんよ」
そう指摘され、自分はそんな目をしていたのだということに初めて気が付く。
無意識のうちに何も考えないようにしているからかもしれない。
だから結果的に目から生気が消える。
それに、彼の言うことは間違いではない。
根本的に諦めている。それは自覚がある。
仁「でもまぁ、悪いのはあっちの加害者ナリ。被害者に何の問題がないわけじゃないが、こっちは一人じゃ」
仁王くんは、私に怒っているわけでも、助けようとしているわけでもない。
仁「多勢に無勢の状態で、多勢が強いのは当たり前じゃし」
ただ事実を、思ったことを伝えているだけ。
仁「俺も昔いじめられとったことがあるんじゃ。目の色のことで。まぁ、俺へのいじめはすぐにおさまったけどな」
『そう…なんだ……』
仁「あん時に思ったんじゃ。いじめなんて、そんな、くだらないもんだって」
いじめ自体をそんなに重い話に受け止めていない様子だった。他人事だからではない。
いじめに対する態度が違う。
でも、私にとってその興味なさげな態度がありがたかった。
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ユッキー(プロフ) - megumiさん» 最高に嬉しいです!ありがとうございます!励みになります(*^^*) (2019年5月27日 1時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - お話も興味深いですし、描写も深くて素敵です(*'ω'*)更新、楽しみにしています! (2019年5月27日 1時) (レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
ユッキー(プロフ) - 白銀水龍さん» ありがとうございます!そんなお言葉を頂けるなんて嬉しい限りです(*^^)v頑張りたいと思います! (2019年5月21日 18時) (レス) id: 127851c6f5 (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - 面白い!これからも更新頑張ってください! (2019年5月21日 18時) (レス) id: 01408c4e23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪 | 作成日時:2019年5月20日 0時