二つの世界の狭間で (ページ5)

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「はぁ～」

　柚月は、今日で三冊の本を読み上げた。
　しかし、柚月にとって印象に残ったのは、最初の本しかなかった。
　そして、この世界についてもっと知りたいと思うようになった。
　柚月は、今日初めて本には続編があるかもしれないことを知った。
　だから、最初の本にも続編があるかもしれないと考えた。
　柚月は、最初の本が置いてあった棚に向かった。
　しかし、その本はなかった。

「借りられちゃったのかな……」

　柚月は肩を落とした。
　その時。

「柚月どうした？」

　少年が声をかけてきた。
　この少年は図書館に慣れているらしく、係員と親しく話しているところも見かけた。

「気に入った本が借りられてて……」
「そんなの、コンピューター使えばいいよ」

　コンピューター……と、柚月は少年の言葉を繰り返した。

「知らないの？ちょっと来てよ」

　柚月は、少年についていった。
　少年は、機械の前で立ち止まった。

「題名とかわかる？」

　柚月はそう聞かれて、題名を言った。
　少年は、キーボードをタップする。

「え、そんな本ないけどな」
「ない……？」

　柚月は確かに見た。
　それなのに、少年はないと言ったのだ。

「そ、そうなの？ごめんね、ありがとう……」

　柚月は足早にそこを立ち去った。

「……おかしいな」