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「柚月、こっち!」
「う、うんっ」
不揃いな形で敷き詰められた青いブロックの上を駆ける。
柚月は皆に少し遅れて走っていた。
その額には、汗が浮かんでいる。
「今日は、図書館行くよ!」
リーダーのような少女の言葉に、柚月は顔を上げた。
「図書館……?」
このグループでは、さんざんそこら中の公園に引っ張っていかれた。
そのお陰で強くなれたことに変わりはないが。
しかし、一度は静かに図書館で勉強……という夢を、柚月は密かに抱いていた。
柚月の目が輝く。
「早く行きたい……」
そう呟いて、柚月は走ることに集中し始めた。
本気の柚月は、舐めてはいけない。
「お、速くなったな、柚月!」
隣から声をかけられる。
柚月は誉められることに慣れていなくて、目を白黒させた。
「う、うん、ありがと……っ」
柚月は少し微笑んだ。
柚月特有の、ふわっとした笑みだった。
「もうすぐ着くよ!」
柚月は、その言葉に反応した。
実は、柚月は図書館に行ったことがない。
どんな建物なのか、何があるのか楽しみだったのだ。
「着いた!」
先頭の少女が立ち止まったのは、朱色の煉瓦で造られた大きな建物。
柚月は、目を輝かせた。
「すごい……」
柚月はしばらく唖然としていたが、少年に呼ばれてそちらに向かった。
柚月は、仲間に続いて図書館に入っていった。
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作者名:玲莉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/reiri/
作成日時:2018年3月23日 17時