5 ページ5
✿
「お弁当、美味しそうですね。もしかして、自分で作ってるんですか？」
「はい。私の家、共働きなので。りくにやらせる訳にもいかないし、家の家事は大体私がやってるんです」
すごいですね、とAさんの言葉に相槌を打つ。ここは屋上、俺らは花壇から屋上に移動して昼ご飯を食べている。
Aさんのお弁当箱を覗く。本当に美味しそうだ。駅弁なんかよりもずっと。
「……よければ、作ってきましょうか？ りくは自分の願いが通らないとずっと引っ張り続けるので、本当にありがたかったんです。そのお礼に」
「いえ、そんな。お代はいただきましたし」
貴方とも出会えましたし、と心のなかで付け足す。
うーん、と唸りながらAさんは考える素振りを見せると、ぽん、と手を叩いた。
……あれ、今日どこかで見た仕草のような。
「……じゃあ、この卵焼きあげます。きんときさん、そのメニューじゃタンパク質足りてないですよ。今度から私、多めに作ってきます」
「えっ」
「健康のためだと思って。どうですか？」
どうやら、義理堅い人みたいだ。そして優しい。料理なんて手間がかかるものをわざわざ選ぶなんて。
でもさすがに申し訳ない……まてよ。
これって、合理的にAさんと食事ができるんじゃ。
「……じゃあ、お言葉に甘えて。お願いしてもいいですか？」
「勿論です」
そう言ってAさんは、ふわりと柔らかく微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うい(プロフ) - あずきさん» お褒めのコメント嬉しいです。更新頑張るので、是非また来てくださいね。 (2022年9月23日 13時) (
レス) id: a7df37f5cd (このIDを非表示/違反報告)
あずき - 面白いです~！！応援してますっ！！ (2022年9月23日 13時) (レス) @page1 id: fed7a00a2d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
