検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:5,507 hit

3.華が似合う人 ページ3




次の日になっても、夏祭りで出会ったあの人のことが頭から離れない。ぼーっとしながらトーストをかじる。味がしない。

気付いたときには時計の針は八時を回っていて、俺は急いで家を飛び出した。

なんとなく。本当になんとなく、『恋は盲目』という言葉が右からダッシュしていった。

(恋は盲目? いやいや)

あり得ない、と否定しながらもその可能性を感じてしまう。確かに俺は、あの人の優しい瞳に惹かれたんだ。

勿論遅刻した俺は、先生にこっぴどく叱られた。





中休み。クラスが同じなかむと駄弁るのがテンプレートだ。俺がぼーっとしていたからか、なかむからてとてとと近寄ってきた。

「きんときが遅刻するなんてめずらしいね。ぼーっとしてるし。なんかあった?」
「なかむ」

なかむが「んー?」と返事をする。なかむの瞳をじっと見つめて、俺は言った。

「恋した」
「なるほど恋ね……。えぇ!?」

なかむの大きな声にクラス中の視線が集まる。気まずそうに頭を下げる姿が面白い。

容疑者を問い詰める刑事のような顔つきをしたなかむが言う。

「俺の知ってる人? え、誰?」
「いや……。知らない、ちょっと会話しただけで」
「一目惚れってやつ?」

なかむの問いに頷く。うーん、と彼は唸った。

「じゃあ、見た目とかは?」
「肌が白くて、目が黒。髪は黒でふわふわだった。あと、見た目じゃないんだけど……。りく君っていう弟がいるみたい」
「……あっ!」

なかむはわざとらしくぽん、と手を叩く。

「俺、その子知ってるかも!」

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
96人がお気に入り
設定タグ:ワイテルズ , WT , Kn   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うい(プロフ) - あずきさん» お褒めのコメント嬉しいです。更新頑張るので、是非また来てくださいね。 (2022年9月23日 13時) (レス) id: a7df37f5cd (このIDを非表示/違反報告)
あずき - 面白いです~!!応援してますっ!! (2022年9月23日 13時) (レス) @page1 id: fed7a00a2d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:うい | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年9月23日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。